木造では国内最大級で10メートルを超える長谷寺の十一面観音立像(重文)は、『長谷寺縁起』によると、もとは霊木から造られたそうです。
昔、近江国の岬に漂着した大木の端を村人が切り取ろうとしたところ、村人が多数流行病で亡くなりました。たまたま村に来ていた大和国の男が、地元の村まで大木を持ち帰り、仏像を作ろうとしましたが、そのまま亡くなってしまいます。
それから80年ほど経ったある日、村で流行病が発生し、村人たちは大木の祟りだとして捨ててしまいました。20年後、その話を聞いた徳道上人が、その大木で仏像を作ろうと発願し、聖武天皇などの協力のもと観音像を完成させました。神亀4(727)年のことです。
その後、夢でお告げがあり、現在の長谷寺の地に観音像を安置したそうです。徳道上人は西国三十三所観音霊場も開き、長谷寺は根本道場とも呼ばれ、長谷詣で・長谷信仰は全国に広がりました。たび重なる火災で焼け、現在の観音像は室町時代のものですが、歴代の焼け残りが胎内仏として納められ、霊験は受け継がれています。
【奈良まほろばソムリエの会 楠田英雄】
■宗派 真言宗豊山派
■住所 桜井市初瀬731-1
■電話 0744-47-7001
■交通 近鉄長谷寺駅から徒歩約20分
■拝観 8:30〜17:00(4月〜9月)、9:00〜17:00(10月〜11月、3月)、9:00〜16:30(12月〜2月)500円
■駐車場 70台(有料)
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