悲しい創建伝承があります。奈良時代、聖武天皇が、狩の途中で誤射により命を落としたこの地の豪族・真弓(まゆみ)長弓(たけゆみ)の死を哀しみ、行基に命じてお堂を建てさせたのが始まりとされています。
平安時代に藤原良継(よしつぐ)が伽藍を整備し、丈六(約4.85メートル)の阿弥陀、釈迦、四天王を安置しました。鎌倉時代の1279(弘安2)年に現本堂(国宝)が建立されましたが、当時は蒙古来襲で寄進が集まらず、約60年間素屋根であったようです。
その後、戦国時代に織田信長による寺領没収、明治の廃仏毀釈などにより、寺運は衰退の一途をたどりました。
東京のグランドプリンスホテル高輪の観音堂は、当寺の三重塔初層部を移築したもので、1934(昭和9)年の室戸台風で本堂が大破し修復のために手放したといわれます。翌年の大解体修理を経て、美しい檜皮葺(ひわだぶき)の本堂(国宝)が現存しています。
本堂と境内を護持する薬師院・法華院・円生院の塔頭(たっちゅう)は、それぞれサロンや寺子屋、精進料理の提供など地域の人に開かれた幅広い活動をしています。
【奈良まほろばソムリエの会副理事長 小野哲朗】
■宗派 真言律宗
■住所 生駒市上町4442
■電話 薬師院 0743-78-2468,法華院 0743-78-2437,円生院 0743-78-3071
■交通 近鉄富雄駅からバス「真弓橋」下車 徒歩約5分、近鉄学園前駅からバス「真弓4丁目」下車 徒歩約5分
■拝観 境内自由、本堂拝観は要事前申込300円
■駐車場 有(無料)
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