大和松尾寺は718(養老2)年、天武天皇の皇子・舎人(とねり)親王が勅命により日本書紀を編纂(へんさん)するとき42歳の厄年であったため、書紀の無事完成と厄除(やくよ)けを祈願して建立されたと伝わります。
書紀は720(養老4)年に無事完成し、今年で1300年となります。本尊・千手千眼観音菩薩(ぼさつ)の霊験(れいげん)あらたかな日本最古の厄除霊場として、現在も広く信仰を集めています。
創建時の本堂は焼失し、1337(建武4)年に再建されました。昭和の解体修理時に屋根裏から、旧本尊と推定される焼損した仏像の残欠が発見されました。
これに接した白洲正子は自著『十一面観音巡礼』に「地獄の業火に焼かれ、千数百年の風雪に堪(た)えて、朽木と化したその姿は、身をもって仏の慈悲を示している」とその感動を記しています。焼損仏を含む寺宝は、毎年秋に公開されます。
寺では毎年7~8月に夏期心身修練教室(一休さん)が行われます。僧衣をまとったかわいい一休さんたちが、山寺の自然の中での小僧体験を通じ、仏の慈悲に見守られて思いやりのある優しい子どもに育っています。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 大江弘幸】
■宗派 大和松尾寺(真言宗)
■住所 大和郡山市山田町683
■電話 0743・53・5023
■交通 JR大和小泉駅からバス「松尾寺口」下車、徒歩約2㌔
■拝観 9~16時
■駐車場 有(無料)
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