川西町の玄関口、近鉄橿原線結崎駅から西へ約3㌔、曽我川の右岸に富貴寺(ふきじ)がたたずんでいます。途中、能楽の流派の一つ「観世流」発祥の地・面塚や糸井神社、全長200㍍の島の山古墳・比売久波(ひめくわ)神社などがあり、史跡や神社をたどる散策路となっています。
富貴寺は、長谷寺を総本山とする真言宗豊山派の寺院で、貞観年間(859~877)に法隆寺東院(夢殿)を再興した道詮(どうせん)律師が創建したといわれ、現在は壷阪寺の末寺となっています。もとは境内を接して建つ六県(むつがた)神社の「本地仏」を祀(まつ)る神宮寺堂でした。今も神仏混合時代の面影を残しています。
2月11に御田植祭(子出来おんだ)(県指定無形民俗文化財)が神社拝殿で行われます。出産の所作を伴う神事が珍しい祭です。
美しい本堂(重文)は、間口5間、奥行4間の寄棟造で南北朝末期の1388年に建立されました。本尊は木造釈迦(しゃか)如来坐像(ざぞう)(重文)で、像高84.5㌢の桧(ひのき)材、寄木造り、彫眼、漆箔の坐像です。両脇側に木造地蔵菩薩(ぼさつ)立像を配しています(向かって右側、像高96㌢の桧材、寄木造りの地蔵菩薩立像も重文)。仏像ファンには見逃せないスポットです。ぜひお参りください。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 水 間充】
■宗派 真言宗豊山派
■住所 磯城郡川西町保田33
■電話 0745・44・2214(川西町教育委員会)
■交通 近鉄結崎駅から徒歩約45分
■拝観 境内自由、本堂内は要事前予約、志納
■駐車場 無
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