近鉄大阪線の下田駅から南の方へ1㌔ほどの所に阿日寺(あにちじ)はあります。比叡山で修行を積んで浄土信仰を広め、「往生要集」を著した恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)(942~1017)が生まれた寺とされ、源信の母親が往生した寺としても知られています。
浄土念仏に関する膨大な経論の中から主要な文を引用し、誰にでも理解しやすく地獄と極楽の世界を描いた「往生要集」は、後世に多大な影響を及ぼし、念仏各宗派の基礎ともなりました。
母の臨終に際し、源信が祈願した浄衣(じょうえ)を着せて念仏を唱えると、安らかに亡くなりました。源信が開基とされる斑鳩町の吉田寺(きちでんじ)とともに「ぽっくり往生の寺」と呼ばれ、県内外から多くの人が参拝されます。
寺号の阿日寺は、源信が母の忌中に彫ったとされる本尊の阿弥陀如来立像、父の忌中に彫ったと伝わる客仏の大日如来坐像(重文)から一文字ずつとって名付けられました。
源信の命日7月10日には毎年、健康長寿と安楽往生を祈願して「恵心忌」が営まれます。この日のみ寺宝の「地獄絵図」五幅が開帳され、予約なしで拝観、法要に参列することもできます。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 柏尾信尚】
■宗派 浄土宗
■住所 香芝市良福寺361
■電話 0745・76・5561
■交通 近鉄下田駅から徒歩約20分
■拝観 9~12時、水曜休み。要予約、志納。
■駐車場 有(無料、3台)
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