やまと百寺めぐり
< 第92回へ 第94回へ >
第93回 2021年03月18日掲載
中将姫追慕 今も  青蓮寺(宇陀市)


開山堂に安置されている中将姫坐像=宇陀市の青蓮寺で

 宇陀市南東部にある日張山(ひばりやま)の山中にたたずむ青蓮寺(せいれんじ)は、奈良時代に右大臣・藤原豊成の娘中将姫(ちゅうじょうひめ)が、自らの命を救ってもらった松井嘉藤太(かとうた)の菩提(ぼだい)を弔うため、765(天平神護元)年に建立したとされる尼寺です。
 寺伝などによると、中将姫は14歳の時、継母の指示で嘉藤太に命を奪われかけますが、改心した嘉藤太夫婦と日張山で2年半暮らします。父と再会した後、17歳で出家し、当麻寺で読経と写経に没頭し、蓮の糸で曼荼羅(まんだら)を織ったとされます。
 開山堂に祀(まつ)られている木造の中将姫坐像(ざぞう)(高さ45㌢)は、19歳の中将姫が自分の姿を鏡に映して刻んだと伝わります。少し笑みを浮かべ、優しく見守るような穏やかな表情をしています。
 お寺の重要な行事が「中将姫会式」です。毎年4月の第2日曜日に営まれ、今年は4月11日に1247回忌を迎えます。
 当日は住職が中将姫の29年とされる生涯について法話をします。回忌法要は中将姫を偲(しの)ぶ日であると共に、参拝者が中将姫との深いご縁を感じる日でもあるのです。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 寺田麻美】



■宗派 浄土宗
■住所 宇陀市菟田野宇賀志1439
■電話 0745・84・2455
■交通 近鉄榛原駅からバス「松井橋」下車、徒歩約60分
■拝観 10~15時、要事前予約
■駐車場 有



トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.