やまと百寺めぐり
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第92回 2021年03月11日掲載
花会式彩る伝統の造花  薬師寺(奈良市)


花会式で造花が供えられた薬師寺の本尊薬師如来=同寺提供

 修二会(しゅにえ)と言えば、東大寺二月堂のお水取りが有名ですが、薬師寺ではその名も華やかな「花会式(はなえしき)」が、3月25日から31日まで7日間行われます。
 正式名は「修二会花会式 薬師悔過(けか)法要」。本尊の薬師如来に日ごろのさまざまな過ちを懺悔(さんげ)し、人々の幸せを祈る法要です。
 平安時代の1107(嘉承2)年、堀河天皇が皇后の病気平癒を薬師寺修二会に祈願したところ、見事に全快。皇后は感謝の気持ちを込めて、生花の少ない2月、宮中の女官たちと造花(つくりばな)を作り、奉納しました。以来、修二会に造花を供えたことから、「花会式」と呼ばれるようになったと伝わります。
 造花は現在、薬師寺ゆかりの2軒の家が作り続けています。ウメ、モモ、サクラ、ツバキ、ヤマブキ、ボタン、フジ、カキツバタ、ユリ、キクの10種約1600本。薬草で染められた和紙や鹿の毛などを用い、一つ一つ細部まで緻密に手作りされます。900年を超える伝統を受け継ぐ花々です。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本年も規模を縮小して行われます。ご参拝の方は事前にご確認ください。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 山﨑愛子】



■宗派 法相宗
■住所 奈良市西ノ京町457
■電話 0742・33・6001
■交通 近鉄西ノ京駅から徒歩すぐ
■拝観 8時半~17時、1100円(西僧坊・食堂を含む特別共通割引券1600円)
■駐車場 有(有料)



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