やまとの神さま
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第123回 2025年06月05日掲載
「源氏再興へ」常陸に源流   鹿島神社(香芝市)


鹿島神社拝殿=香芝市で


  近鉄下田駅の北にある神社で、祭神は茨城県の鹿島神宮と同じ武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)です。香芝の地名は当社の「カシマ」に由来するともいわれます。
 「結鎮座(けっちんざ)文書」(後述)によりますと、1172年、源義朝(みなもとのよしとも)の家臣の鎌田小次郎政光(かまたこじろうまさみつ)が、常陸の国鹿島神宮の分霊を勧請したのが始まりです。平治の乱(1159年)で平清盛に敗れた源義朝一行は、知多で殺害されましたが、政光は逃れて常陸国の鹿島にたどり着き、鹿島神宮で源氏再興の願掛けをしました。満願の日の夜、夢に老人が出てきて、西の方に行け西の方に行けば願いがかなうと言われ、旅に出ます。鹿島の風景に似た下田に至り、祠(ほこら)を建てて鹿島神宮の神を祭ったのが始まりと伝えられます。当初はやや南の地にあり、鎌田という地名も残ります。
ここには古くから、氏子の宮座として「結鎮座」があり、現在も継承されています。神社に奉仕し、祭礼を行ってきた集団で、座の組織や年中行事などを記した「結鎮座文書」(県指定文化財)が伝わり、村や宮座の構造を知る貴重な史料となっています。毎年1月26日に行われる渡御(とぎょ)行事は、宮座の上十人衆が輪番で務める頭屋宅に、鹿島神社のご神霊を迎える行事です。昨年の秋祭りでは「下田だんじり」が約60年ぶりに曳行(えいこう)されました。
(奈良まほろばソムリエの会会員 喜多村英夫)


(住所)香芝市下田西1の9の3
(祭神)武甕槌大神
(交通)近鉄下田駅からすぐ、JR香芝駅から徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(無料)
(電話)0745・78・7535


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