左:薬師十二神将図(福井祥好氏提供) 右:阿弥陀二十五菩薩来迎図(同)
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作者の福井氏は大切な人を不慮の事故で亡くすという辛い経験をした。その悲しみと心の葛藤を癒してくれたのが、30年前に目にした聖観音の柔らかな慈愛のまなざしと、温かく包みこむたたずまいだったという。
それまで声楽の道を歩んでいた氏は、音楽に寄せていた情熱を仏画へと急転回。大仏師、故松久宗琳(そうりん)氏に師事し、才能を開花させた。
信仰心をもって描く福井氏の絵には魂があり、祈りがある。描く仏は頼もしく、菩薩はやわらかな優しい表情で見る者を包みこみ、天部は躍動感あふれ力強く勇ましい。見る者を仏の世界へと優しく誘ってくれる。日本の伝統文化と豊かな心の復興をめざすまほろば塾にふさわしい仏画だ。
機会があれば拝していただきたい。前に立つと自然と手を合わせたくなることだろう。
(NPO法人 奈良まほろばソムリエの会 辰馬真知子)
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