百人一首「ちはやふ(ぶ)る 神代(かみよ)も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」。詠み人は、平安時代の歌人で六歌仙にもかぞえられた在原業平です。
最近は人気漫画「ちはやふる」が話題を呼んで、競技かるたを始める方も多いそうです。アニメ化や映画化もされたので、竜田川を知った方も多いかも知れません。
数ある和歌から藤原定家が選んだ百首の中に、もう一首竜田川が詠まれています。能因法師の「嵐吹く 三室(みむろ)の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」と、こちらも秋の様子を愛(め)でています。
時は過ぎ、川の流れも変わりましたが、整備された竜田公園は今も美しく、春には河口近くの三室山で、桜が見事な景色を見せてくれます。業平や能因法師がこの景色を見れば、神代も聞かず(神様も見たことのない)と、桜を詠んでくれるのではないでしょうか。
【奈良まほろばソムリエの会 西川 誠】
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