厳島神社と名の付く神社は数多くあります。天理市布留町の石上神宮に近いこの厳島神社は、古くは石上寺伝承地とも、僧正遍昭が住んだ良因寺跡とも伝わります。
狭い境内に遍昭が六歌仙仲間の小野小町と交わした歌碑があります。宮廷生活を辞した小町が石上寺に詣でた際、日が暮れ近くに住む遍昭に一夜の宿を求めた歌です。
(小町)「いそのかみ 旅寝をすれば いと寒し 苔(こけ)の衣を われにかさなむ」
(遍昭)「世をそむく 苔の衣はただ一重 かさねばうとし いざ二人ねむ」
美女の誉れ高かった小町と、桓武天皇の孫で蔵人頭を辞して出家した遍昭。夜を徹して来し方・行く末を語り合う二人の世界にしばし思いをはせる。
もうすぐ正月。小学4年生の孫娘は学校で百人一首の暗唱に夢中です。「わかみよにふる なかめせしまに」「をとめのすかた しはしととめむ」の意味が分かる年齢かな?
【奈良まほろばソムリエの会 田原敏明】
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