別名・山村御殿と呼ばれる円照寺の北側、奈良市八島町に崇道天皇陵(八嶋陵)があります。崇道天皇(早良親王)は藤原種継を暗殺した容疑をかけられ、淡路島へ流される途中、亡くなりました。遺体は淡路島に葬られましたが、その後、桓武天皇の近親者が次々に亡くなり、疫病がはやったため、祟(たた)りと恐れられ、崇道天皇の称号が贈られました。
祟りを鎮めるため、淡路島の山陵から移葬され、天皇陵として造営されたのが八嶋陵です。早良親王が九つの石を投げ、落ちた所に葬ってほしいと告げて絶命し、そのうち八つが見つかったため、この地に造営したという伝説があります。これが地名の由来とも言われ、八つの石が天皇陵の前の道の真ん中にあります(露出した古墳の横穴式石室)。
天皇陵は扉と白壁で囲まれ、怨霊(おんりょう)が中で静かに機をうかがっているようにも思えます。
【奈良まほろばソムリエの会 吉川和美】
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