旧暦の正月14日に浄見原(きよみはら)神社(吉野町南国栖)で行われる国栖奏(くずそう)は、応神天皇の前で演じたのが始まりだと言われています。古代から宮中で奉納されてきましたが、平安時代末期以降は、壬申の乱の際に大海人皇子をかくまった場所に創建された同神社で奉納されています。
歌笛を演じるのは翁筋(おきなすじ)と呼ばれる家の12人で、神官を先頭に笛を演奏しながら参道を上ります。舞殿では、鈴とサカキを持って舞い、笛と鼓を演奏し、「正月」「延栄(えんえい)」とはやします。最後は、全ての翁が右手を口元に当てて上体を反らす「笑いの古風」を行って終わります。
神饌(しんせん)は、栗や一夜酒、ウグイ、根芹(ねぜり)、赤カエルと珍しいものです。地元の人たちに伝え継がれる古式ゆかしいお祭りで、多くの参拝者で賑わいます。
【奈良まほろばソムリエの会 池内力】
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