桜井市の談山(たんざん)神社は10月の第2日曜日、嘉吉祭を執り行います。「百味の御食」(ひゃくみのおんじき)と称される豪華に盛り付けた穀類、果実、野菜などの美しいお供えが用意されるのが、この祭りの特徴です。
中でも、和稲(にぎしね)がひときわ目に留まります。彩色したお米を積み上げたお供えで、談山神社に特別に伝えられてきました。
和稲を作製する福本静代さんに作り方をお聞きしたところ、丸い和紙の外周に42粒のお米を張り付け、それを70段も積み上げるそうです。「米粒の向きを合わせることに気を使い、一度に積み上げると変形するから時間をかける必要があります」と話してくださいました。
祭りの当日、色とりどりのお供えは氏子や参列者の手渡しで神前にまつられ、祭りの後も神社の拝殿に陳列されるので、通年で拝見することができます。
【奈良まほろぼソムリエの会 副理事長 雑賀耕三郎】
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