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第86回 2018年10月11日掲載
松の木膚の柿の木 ―― 葛城市の現徳寺


松柿=いずれも葛城市で

 奈良県の柿の生産量は和歌山県に次いで全国第2位だそうです。10月26日は「柿の日」です。柿好きの正岡子規があの有名な「柿食へば…」の句を詠んだ1895(明治28)年10月26日にちなんで制定されました。
 葛城市南今市に中世豪族の布施氏から出家した道光が開創したと伝わる現徳寺(げんとくじ)があります。その境内に1972(昭和47)年に県が保護樹木に指定した「松柿」という珍しい木があります。1486(文明18)年、蓮如上人が布教活動で滞在した時、松の木を台木にして柿の小枝を接いだもので、「私の勧める教えが虚妄ならば、この接ぎ木もむなしくなる。実なれば栄え繁昌(はんじょう)する」と言いました。以来、年月を経てもこの松柿は実を結び続け、胃痛に薬効ありとも伝わり、霊木としてあがめられています。
 風に揺れる松柿を見上げていると、「柿くふも 今年ばかりと 思ひけり」の子規の句がふと浮かんできました。

【奈良まほろばソムリエの会 田原敏明】



現徳寺山門

■メモ■

現徳寺へは近鉄南大阪線磐城駅下車、徒歩15分。
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