東大寺は創建以来、何度も火災に遭い、特に1180年の平重衡の南都焼討では大仏殿を含む多くの伽藍が炎上しました。それを目の当たりにした重源上人は諸国を回って再建の勧進をし、幾多の困難を克服して鎌倉時代に大仏殿を再建されました。
運慶作とされる写実彫刻の傑作、国宝の重源上人像は東大寺鐘楼の近くの俊乗堂に安置されていて、展覧会などにもよくお出ましになられます。
ところで、重源上人のお墓はどこにあるのでしょうか。自らが開祖である北御門町の五劫院のすぐ東の道を北へ行き、右手にある三笠霊苑の急坂を登り、やや平坦になった辺りに東大寺の僧侶のお墓が並んでいます。その五輪塔のひとつが重源上人のお墓です。奈良の町を眼下に見るとても見晴らしの良いところです。
【奈良まほろばソムリエの会理事 松森重博】
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