金峯(きんぷ)神社は吉野山の奥千本、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)の第二門である修行門(二之鳥居)を過ぎて、急坂を登った木立の中にあります。
祭神は金山毘古神(かなやまびこのかみ)で、伊邪那美命(いざなみのみこと)が火の神を産んだ時、苦しんで吐いたものから生まれた金鉱守護の神です。
金峯山が金脈の存在する山「御金(みかね)の岳(たけ)」だと信じられていたので、地主神として祭られるようになりました。
明治時代の神仏分離以前、金峯山寺(きんぷせんじ)には山上の蔵王堂(現在の大峯山寺(おおみねさんじ))と山下(さんげ)の蔵王堂(現在の金峯山寺)がありました。
金峯山寺と金峯神社は一体の存在でしたから、金峯神社も山上と山下にあったと考えられます。このことは、藤原道長が大峯山に埋めた国宝の金銅経筒を金峯神社が所蔵していることからも推測できます。
明治初期には、金峯山寺蔵王堂が金峯神社の口ノ宮となっていたこともあります。
境内地を一段下がった所には、源義経が屋根を蹴破って追手から逃れたとの伝承がある「蹴抜塔(けぬけのとう)」があります。
この建物の中に修行者を入れ、ガンガンと鐘を鳴らして俗気を抜く行が行われることから、「気抜(けぬ)けの塔」とも呼ばれています。現在の建物は大正時代の再建です。
(奈良まほろばソムリエの会会員 池内力)
(住所)吉野町吉野山1651
(祭神)金山毘古神
(交通)近鉄吉野駅下車、吉野山ロープウェイ「吉野山駅」から徒歩約2時間
(拝観)境内自由。駐車場無。
(電話)0746・32・3012(宮司宅)
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