源九郎稲荷神社は、秀吉の弟で、郡山城主だった大和大納言・豊臣秀長が、郡山城の鎮守として創建しました。日本三大稲荷の一つに数えられることもあります。
本殿の前には、宝珠をくわえ財宝にご利益があるという狛狐(こまぎつね)と、巻物をくわえ知恵にご利益があるとされる狛狐が、参拝する人々を笑顔で見守っています。
「喜常(きつね)札」と記された御朱印にも巻物をくわえた狐が描かれています。
神社名の由来は、歌舞伎や文楽で人気の演目、妖力を得た狐の心に浄化される物語「義経千本桜」に深い関わりがあります。
源平合戦の後、兄・頼朝によって吉野山へ追われた源九郎義経は、そこで忠臣・佐藤忠信に化けた白い狐の神通力によって助けられました。側室の静御前が鼓を打つと狐が現れ、義経は自分の名前を取って、狐に源九郎と名付けました。
春の訪れとともに、狛狐の傍らに植えられた中村勘九郎梅と桜が、鮮やかに境内を彩ると、物語を重ねる人も多いのではないでしょうか。
「大和郡山お城まつり」では主な行事として、「白狐渡御(とぎょ)」が行われます。白衣に白狐の面をつけた子どもたちが、白狐ばやしに合わせて市街地を練り歩きます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 藤井哲子)
(住所)大和郡山市洞泉寺町15
(祭神)宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、源九郎稲荷大明神
(交通)JR郡山駅、近鉄郡山駅からいずれも徒歩約10分
(拝観)午前10時〜午後5時
(駐車場)無
(電話)0743・55・3830
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