やまとの神さま
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第67回 2023年12月14日掲載
古代の交通路、交わる地  三輪神社(桜井市)


三輪神社の拝殿=桜井市西之宮で

 三輪神社は橿原市との境の桜井市西之宮に鎮座します。主祭神は大物主櫛甕玉命(おおものぬしくしみかたまのみこと)で、北東にある三輪山の大神(おおみわ)神社と同じです。当社はその三輪山の方角を向き、三輪の集落の南西角を守る神さまとして奈良時代に造られたと伝わります。その後、内垣内(うちがいと)という所にあった白山神社の祭神、菊理姫命(くくりひめのみこと)が合祀(ごうし)されました。
 この地は古代に葛城市と桜井市を東西につなぐ官道「横大路」と、藤原京と平城京を南北に結ぶ大和三道の一つ「中ツ道」が交差する要衝でした。そのにぎわいを感じさせる巨大な花こう岩(直径140センチ)が境内の南西隅の水路の中に残っています。「面堂の礎石」と呼ばれ、古代寺院の遺構か、藤原京の寺院から持ち出した物なのかは明らかになっていません。
 また、境内の入口にはケヤキの御神木があります。江戸時代、伊勢神宮に参詣する「おかげ参り」の人たちが横大路を通る際の目印となり、江戸時代のガイド本「西国三十三所名所図会(ずえ)」にも、この大樹を見上げる旅人が描かれました。
 2019年10月、住民や参拝客が御神木の下で休息できる交流拠点「緑の一里塚」が設けられました。歴史ある祈りの場として、地域住民から親しまれ、大切に守られています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 梅田加都)


(住所)桜井市西之宮135
(祭神)大物主櫛甕玉命(おおものぬしくしみかたまのみこと)
(交通)近鉄大阪線耳成駅、またはJR桜井線香久山駅から、いずれも徒歩約5分
(拝観)境内自由
(駐車場)無し
(電話)無し

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