都祁(つげ)山口神社は奈良市東部の旧都祁村に鎮座します。旧村教委が立てた説明板によると、大和の国に14カ所ある山口神社の一つ。神武天皇の皇子・神八井耳命(かんやいみみのみこと)の子孫・都祁直(つげのあたい)が古代の「闘鶏(つげ)(都祁)の国」の地方官「国造(くにのみやつこ)」となり、都祁氏の氏神として祭ったのが起源とされます。同神社略記によると、神社前の田にある小さな塚は、都祁氏の墓とされ、「森神(もりがみ)さん」と呼ばれています。
旧都祁村史によると、891(寛平3)年、現在地に都祁山口神社と都祁水分(みくまり)神社が遷座して社殿を建立。971(天禄2)年に水分神社が鞆田(ともだ)(同市都祁友田町)に移され、山口神社を上宮、水分神社を下宮と呼ぶ場合もあります。
境内に宮池と鏡池があり、裏山の南方で湧き出た水が二つの池や田畑を潤します。流れる水音が美しく、分水嶺に当たるこの地に水の神が宿っているのだと感じます。
本殿の背後の尾根を登ると、頂上に東西約9メートルのゴシャオ(御社尾)と呼ばれる巨岩があります。昔から神が鎮座する「磐座(いわくら)」として敬われ、水分大明神の降臨の地とされます。
10月の例祭には水分神社の神輿(みこし)のお渡りがあり、「水分さんの里帰り」として、境内で火をたき、盛大に迎えられます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 小西和子)
(住所)奈良市都祁小山戸町(つげおやまとちょう)カモエ谷640
(祭神)大山祇神(おおやまつみのかみ)、大国主命(おおくにぬしのみこと)
(交通)名阪国道「道の駅針テラス」から車で南に約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)あり(無料)
(電話)なしし
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