やまとの神さま
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第81回 2024年04月18日掲載
神武天皇、大和平定ゆかり  登弥神社(奈良市)


登弥神社本殿=奈良市石木町で

 登弥(とみ)神社は富雄川の東側、奈良市と大和郡山市の市境の西ノ京丘陵の森の中に鎮座します。
 古くは木嶋大明神(このしまだいみょうじん)と称され、今も石灯籠(とうろう)にその名が残ります。
 鳥居をくぐり境内に入ると、長いなだらかな登りの石段があり、一番奥の高い所に本殿と拝殿があります。
 本殿は一間社(いっけんしゃ)(正面の柱間が一つ)春日造(かすがづくり)(切り妻屋根で、棟と直角な面に入り口がある様式)で、東本殿と西本殿の二つが横に並んでいます。2020年に国の登録有形文化財となりました。
 古来「トミ」と呼ばれた場所は当地から北、富雄川の上流一帯を指します。トミの字は登弥、鳥見、富、登美などと記され、当社は古代の地名を残しています。
 由緒については、神武天皇が大和平定の後、この地において皇祖天神(こうそてんじん)を祭ったのが始まりで、その後、天皇の平定に功績のあった登美饒速日命(とみのにぎはやひのみこと)の子孫である登美連(とみのむらじ)が、ゆかりのある当地に祖神と天神地祇(てんじんちぎ)を祭ったのが創始と伝わります。
 毎年2月1日に「粥(かゆ)占い(筒粥祭(つつかゆさい))」の神事が行われます。米と小豆を使った粥で農作物の出来具合を占う神事で、古い形態が残され、奈良市の無形民俗文化財に指定されています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 青木章二)


(祭神)高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、神皇産霊神(かみむすびのかみ)、誉田別命(ほんだわけのみこと)、登美饒速日命、天児屋根命(あめのこやねのみこと)
(住所)奈良市石木町648の1
(交通)近鉄・九条駅から徒歩約20分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(無料)
(電話)0742・45・1117

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