やまとの神さま
< 第82回へ 第84回へ >
第83回 2024年05月09日掲載
奇岩続く景勝 ご神体も石  岩尾神社(山添村)


岩尾神社拝殿と神体石

 三重県との県境に位置する山添村。県道80号(奈良名張線)から里道を数百メートル入った村の東部が、岩尾神社のある吉田集落です。東方を流れているのが名張川で、集落の辺りは奇岩、奇石が続く景勝地です。
 集落の中央部、鬱蒼(うっそう)と大樹が茂る山の中に、岩尾神社が鎮座します。
 鳥居をくぐると石段が続き、左には丸みをおびた灯籠(とうろう)、そこから起伏に富んだ里の風景が見渡せます。石段を登りきった場所に拝殿があり、木々に守り包まれた台地の空間が広がります。
 祭神は岩尾大神で、拝殿のすぐ背後に、ご神体の巨大な2個の自然石を拝することができます。 
 二つの巨石の間には祠(ほこら)が設けられ、岩尾大神が祭られています。昔、この地に神が降臨した際、神がたすき掛けで石を背負ってきた名残と伝わる紐(ひも)のような跡が、くっきりと刻まれています。
 神体石を含め周辺の箪笥(たんす)、長持、葛石(つづらいし)、鏡台と名付けられた石や、馬の蹄跡(ていせき)のある石は、村の史跡に指定されています。
 時おり、わずかな隙間(すきま)から木漏れ日が注ぐと、まるで古代の風景が照らし出されたかのようです。
 神体石の足元は、かつての「石売り行事」で子どもたちが河原で拾ってきた小石などで、敷き詰められています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 藤井哲子)


(住所)山添村吉田
(祭神)岩尾大神
(文化財)巨石は村指定史跡
(交通)県道奈良名張線道標から里道を数百メートル
(駐車場)なし
(電話)山添村観光協会 0743・85・0081


 掲載記事(pdf)はこちら

トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.