三重県との県境に位置する山添村。県道80号(奈良名張線)から里道を数百メートル入った村の東部が、岩尾神社のある吉田集落です。東方を流れているのが名張川で、集落の辺りは奇岩、奇石が続く景勝地です。
集落の中央部、鬱蒼(うっそう)と大樹が茂る山の中に、岩尾神社が鎮座します。
鳥居をくぐると石段が続き、左には丸みをおびた灯籠(とうろう)、そこから起伏に富んだ里の風景が見渡せます。石段を登りきった場所に拝殿があり、木々に守り包まれた台地の空間が広がります。
祭神は岩尾大神で、拝殿のすぐ背後に、ご神体の巨大な2個の自然石を拝することができます。
二つの巨石の間には祠(ほこら)が設けられ、岩尾大神が祭られています。昔、この地に神が降臨した際、神がたすき掛けで石を背負ってきた名残と伝わる紐(ひも)のような跡が、くっきりと刻まれています。
神体石を含め周辺の箪笥(たんす)、長持、葛石(つづらいし)、鏡台と名付けられた石や、馬の蹄跡(ていせき)のある石は、村の史跡に指定されています。
時おり、わずかな隙間(すきま)から木漏れ日が注ぐと、まるで古代の風景が照らし出されたかのようです。
神体石の足元は、かつての「石売り行事」で子どもたちが河原で拾ってきた小石などで、敷き詰められています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 藤井哲子)
(住所)山添村吉田
(祭神)岩尾大神
(文化財)巨石は村指定史跡
(交通)県道奈良名張線道標から里道を数百メートル
(駐車場)なし
(電話)山添村観光協会 0743・85・0081
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