やまとの神さま
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第84回 2024年05月16日掲載
神代から続く占い伝える  天香山神社(橿原市)


天香山神社の拝殿=橿原市で

 天香山神社(あまのかぐやま)は、正式には天香山坐櫛真命(にいますくしまのみこと)神社と言い、天香具山の北麓(ほくろく)に鎮座します。
 祭神は、櫛真命(くしまのみこと)(櫛真智命に同じ)で、神意を伺う占いの神です。国家の大事を判断する亀卜(きぼく)や、天皇陛下即位の大嘗祭(だいじょうさい)のための神撰田(しんせんでん)決定に関係する神として、重視されてきました。
 畝尾都多本(うねおつたもと)神社、天岩戸神社、畝尾坐健土安(うねおにますたけはにやす)神社とともに「天香具山坐四処神社」の一つとされています。
 占いに使う波波迦(ははか)の木(ウワミズザクラ)は、今も境内に自生しています。古事記の「天岩戸神話」には、雄鹿の骨を波波迦の木の皮で焼いて吉凶を占ったとあります。
「春過ぎて夏来るらし白栲(しろたえ)の衣干したり天の香具山」と、万葉集や百人一首に収められている持統天皇が詠んだ有名な歌があります。
 初夏の清々しい日に藤原京から天香具山方面を眺めた景色を歌っているのでしょう。
 天香具山は畝傍、耳成と合わせて大和三山を構成する山ですが、唯一「天の」と神聖視されています。
 また天香具山の枕詞は「天降(あも)りつく」で、天上から降ってきたとの伝承からきています。
 神代から続く古い占いの形を今に伝える貴重な神社です。
(奈良まほろばソムリエの会会員 本田倫子)


(住所)橿原市南浦町608
(祭神)櫛真命
(交通)JR香久山駅から徒歩約20分近鉄大和八木駅からコミュニティバス「別所町」下車徒歩約15分、または「南浦町」下車徒歩約15分
(駐車場)あり(無料)
(電話)0744・48・0155


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