吉野町吉野山にある吉水(よしみず)神社は、天武天皇時代に役行者に創建された修験宗の僧坊で、「吉水院」と呼ばれていました。
1336(延元元)年、後醍醐天皇が吉野に潜幸(せんこう)した際、吉水宗信法印(よしみずそうしんほういん)の援護でこの吉水院を南朝の皇居として南朝四代の歴史がはじまります。現存する南朝の宮として、当時の貴重な品々がこの書院に残されています。
1875(明治8)年に「吉水神社」と改め、後醍醐天皇、楠木正成、吉水宗信法印を祭神とする神社となりました。
後醍醐天皇の潜幸より約150年も前の1185(文治元)年、源義経と静御前が弁慶と共に源頼朝の追手から逃れここで過ごしています。 さらに1594(文禄三)年には豊臣秀吉が吉水院を花見の本陣として盛大な吉野の花見をしたことでも知られています。
このように数々の歴史の中で名をはせ、義経や後醍醐天皇や豊臣秀吉に縁の数々の文化財が今も保管されている吉水神社は、現在では世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つになり世界中から多くの参拝者が訪れています。
桜や紅葉の名所としてだけでなく、ペットの祈祷や参拝もできるため、ペットに優しい神社としても知られるようになっています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 福岡康浩)
(住所)吉野町吉野山579
(祭神)後醍醐天皇、楠木正成、吉水宗信法印
(交通)近鉄吉野駅から 徒歩約30分
(拝観)書院一般600円、中高生400円、小学生300円
(駐車場)有。桜の季節利用不可
(電話)0746・32・3024
掲載記事(pdf)はこちら
|