やまとの神さま
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第117回 2025年04月03日掲載
全国から「氷業繁栄」祈願   氷室神社(奈良市)


氷室神社の本殿=奈良市で


 古代以来、皆が豊かになれるようにという理想を掲げた私たちの国柄(くにがら)始まりの奈良では、稲作を中心とした農耕を大切にして豊作を祈る氷室(ひむろ)神社が、奈良市と天理市に鎮座しています。厳寒の氷の厚さが、その年の豊作不作を占う重要な目安となっていました。
 奈良市の氷室神社は、平城遷都に伴い、710(和銅3)年に春日野の氷池(製氷施設)や御蓋山麓(みかささんろく)に営まれた氷室(貯氷施設)の守護神として山麓に鎮座し、平安時代の始め頃に現在地に移されたと伝えられています。
 豊かな氷は、豊作の証として天皇に献上し、そのお下がりを配り、豊作を祈願するのが献氷の本来的な意味です。奈良時代に編纂(へんさん)された「日本書紀」には、仁徳天皇62年に初めて典礼が行われたと書かれています。
 毎年5月1日には、全国の製氷・販売業界関係者が、鯛(たい)・鯉(こい)の大型氷柱や花氷をお供えして、業界の?栄を祈願して献氷祭が行われています。
 例大祭は、10月1日で朝座、渡御(とぎょ)、夕座のお祭りの後、夕闇が迫る頃、篝火(かがりび)が焚(た)かれるなか舞楽奉納が行われます。
 当社は、平安中期以降明治の初めまで、宮廷の雅楽・舞楽を担う近衛府の官人によって維持されてきました。
(奈良まほろばソムリエの会会員 八尾鈴子)


(住所)奈良市春日野町1ー4
(祭神) 大鷦鷯命(おおささぎのみこと)、闘鶏稲置大山主命(つげのいなぎおおやまぬしのみこと)、額田大仲彦命(ぬかたのおおなかつひこのみこと)
(交通) JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス「氷室神社・国立博物館前」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)あり(有料)
(電話)0742・23・7297


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