葛城山の東麓(とうろく)、葛城川の東、今も清水が豊かに流れる蛇穴(さらぎ)という集落に、野口神社は鎮座します。
祭神は神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと=神武天皇)とその皇子の彦八井命(ひこやいのみこと)です。
社伝によると彦八井命の子孫の茨田連(まんだのむらじ)は仁徳天皇の時代、茨田堤を築き、後に蛇穴村へ移住し、祖神を祭ったといわれます。また蛇穴の野口家の先祖は茨田氏ともいわれます。野口神社には、野の神に豊作と農耕の無事を祈る野神信仰が残っています。
毎年5月5日の朝、境内に氏子たちが集まり、前日に作った蛇の頭部に、餅米のわらで約14bの蛇体を編みこんで完成。蛇綱は拝殿で祈祷(きとう)の後、ワカメの味噌(みそ)汁をかけられ、参拝者にも味噌汁が振舞われます。
その後、子らを交えて「蛇綱曳(じゃづなひ)き」が始まり集落を巡行、 神社に戻ると、蛇綱は蛇塚に巻かれ、お供えされます。この「汁かけ祭り」は、御所市の無形民俗文化財です。
祭りの由来として、次のような伝説があります。茨田長者の娘が葛城山に修行に通う役行者に恋をしたが、見向きもされず、 蛇に化けて追いかけ火を噴いた。村人は味噌汁をぶっかけ、古井戸の中に蛇を追い込み、岩で封じ込めた。
その娘の供養のため、祭事が行われたといわれています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 平越真澄)
(住所)奈良市春日野町1ー4
(祭神)
大鷦鷯命(おおささぎのみこと)、闘鶏稲置大山主命(つげのいなぎおおやまぬしのみこと)、額田大仲彦命(ぬかたのおおなかつひこのみこと)
(交通)
JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス「氷室神社・国立博物館前」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)あり(有料)
(電話)0742・23・7297
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