山口神社は桜井市南部の高田高田(たかた)地区に鎮座し、山の神を祭ります。境内に鳥居や社殿はなく神木を祭神とし、一対の石灯籠とその奥に小石が積まれた円丘があります。
12月の第1日曜日、収穫への感謝と、村の安全と繁栄、子どもたちの成長を願う「亥(い)の子の暴れ祭り」(県指定無形民俗文化財)が行われます。
祭りに先立ち、吉野町の大名持(おおなもち)神社にお参りし、河原から持ち帰った小石が神前に供えられます。
祭り当日は、高田地区集荷場の前に青竹でお仮屋を立てて分霊を祭り、ミニチュアの農具等がつるされます。子どもたちはそれを奪い合い、お仮屋が壊れるまで暴れます。
集荷場内では、円すい形に握った大きな赤飯やお膳が用意されます。子どもたちはそのお膳を蹴飛ばしたり踏みつぶすなどして暴れます。暴れが激しいほど来年の豊作が約束されるといわれます。
夜に入ると、集荷場内の神棚に灯された火に、子どもたちが藁(わら)の束を投げ付け火を消します。火をつけ直すとまた火を消し邪魔をするといった最後の暴れをします。暗闇の中、分霊が宿るお屋形を神前に運び、御幣(ごへい)(紙製の捧げ物)の取り換えと引継ぎが無言で行われます。同地区では少子化で形を変えながらも、伝統を大切に守っています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 辻村忠司)
(住所)桜井市高田山口
(祭神)大山祇神(おおやまつみのかみ)
(文化財)亥の子の暴れ祭り(県指定無形民俗文化財)
(交通)コミュニティバス「聖林寺」バス停から徒歩約15分ぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)なし
(電話)なし
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