室生寺は、かつては興福寺の勢力下の時代もありましたが、江戸時代に、徳川綱吉の母である桂昌院が復興のための寄進をし、真言宗の寺院としました。当時女人禁制だった高野山に対し、早くから女性の参拝を許されたことから、いつしか「女人高野」と呼ばれるようになったといいます。
室生寺には、弘法大師・空海と深いつながりがある多くの伝承があります。一説には室生寺は天武天皇の発願により役小角が創建し、弘法大師が再興したとも伝わります。また五重塔は弘法大師が一夜にして建立したといわれ「一夜づくりの塔」との呼び名もあります。
五重塔の西側の山は、弘法大師が、師事する恵果阿闍梨(けいかあじゃり)より授かった如意宝珠を、山の頂上に埋めたという伝承が残っています。如意山と呼ぶこの山は、真言宗派の寺にとって非常に重要な場所とされています。1946(昭和21)年に実施された如意山頂上の石造納経塔の調査の際には、実際に琥珀玉や巻物、当時の貨幣などが見つかりました。
【奈良まほろばソムリエの会 楠田英雄】
■宗派 真言宗室生寺派
■住所 奈良県宇陀市室生78
■電話 0745-93-2003
■交通 近鉄室生口大野駅からバス「室生寺前」下車すぐ
■拝観 8:30〜17:00(4月〜11月)、9:00〜16:00(12月〜3月)600円
■駐車場 有(有料)
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