鳳閣寺(ほうかくじ)は、吉野山の南、黒滝村の百貝岳の中腹にある真言宗鳳閣寺派の本山です。895(寛平7)年、修験道の中興の祖といわれる理源大師聖宝(しょうほう)が真言院を建てました。
理源大師の廟塔(びょうとう)と伝えられる総高268センチの石塔(重要文化財)は、本堂から約1キロ急坂を登った森の中にひっそりとたたずんでいます。
台座格狭間(ごうざま)の刻銘より、1369(正平24)年に薩摩権守行長(ごんのかみゆきなが)により造られたことがわかります。宋人の石工伊行末(いしくいぎょうまつ)の系統で、南北朝期の名匠として知られます。
廟塔は花こう岩製で、相輪・笠・塔身・受坐(うけざ)・亀趺(きふ)・台座からなり、亀趺は方座から亀の頭部と前足を出した珍しい形です。塔身は一石円筒形で四隅に方形柱形を刻み、扉部など細部に至るまでこの時期の木製廟塔の特徴を極めて精巧に摸したものです。相輪から台座まで造立当初の姿をとどめており、当時の廟塔の建築様式を知る上でも貴重です。
廟塔が造立された時、金品を寄進した僧侶の数は、1万8023人にも及び、理源大師に対するあつい信仰がしのばれます。
【奈良まほろばソムリエの会会員 富田良一】
■宗派 真言宗鳳閣寺派
■住所 黒滝村大字鳥住90番地
■電話 無
■交通 近鉄下市口駅から直近の林道までタクシー利用、または西行庵から徒歩。理源大師廟塔は、鳳閣寺より百貝岳の山頂に向かい徒歩20分
■拝観 境内自由
■駐車場 無
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