近鉄新大宮駅から北へ歩き、一条通を越えると一直線に200メートルほどの細い参道があります。JR関西線の踏切を渡っていくと、南大門のまわりは木々に囲まれた森のようです。門から見える本堂の奥は山のように見えます。平城山(ならやま)丘陵のうちの佐保山の西端で、さらに西にJR線と国道24号が通っていますが、その喧騒(けんそう)はあまり届きません。町中にありながら山に抱かれた山里を思わせます。
鎌倉時代の本堂には、在原業平(ありわらのなりひら)自作と伝わりリボンをつけたように見える本尊・聖観音立像、5体そろった奈良では珍しい五大明王像が安置され、常時参拝できます。
この寺の庭は独特の風情を持っています。林のような木々に囲まれた庭の中で、四季それぞれの花が咲き誇ります。10月から5月まで200種以上の椿が続々と咲きます。11月下旬から12月初めは、多宝塔のまわりの紅葉が池に映えて美しいです。3月から4月は500本のレンギョウ、5月にはキショウブ、6月から11月まではスイレンが咲きます。四季に絶えるときのない花々を愛(め)でに訪れてみてください。
【奈良まほろばソムリエの会理事 石田一雄】
■宗派 真言律宗
■住所 奈良市法蓮町517
■電話 0742−22−5278
■交通 近鉄新大宮駅から北へ徒歩約15分
■拝観 9〜17時、平常展500円。特別展600円、業平忌(5月28日)700円
■駐車場 有(無料)
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