倭文(しずり)神社(奈良市西九条町)の蛇(じゃ)祭りは、体育の日の前日の日曜日に行われます。理源大師の大蛇退治に由来するとも言われ、特殊神饌(しんせん)と神事相撲に特徴があります。
蛇祭りは午後2時ごろから始まります。特殊神饌「人身御供(ひとみごくう)」は、蛇を模した大たいまつと共に町内を一回りした後、神前に供えられます。人身御供の胴体はわらを束ねたもので、長方形の餅が串で刺されます。その上にヒノキの葉やワカメを重ねた後、里芋の断面に「へのへのもへ」と書いた顔と御幣が突き立てられて完成です。
その後、拝殿の前に敷かれたむしろの上で、幼児による小相撲、小学生による中相撲、青年による大相撲が行われます。大相撲では、実際の取り組みは行わず、むしろに置いた日本刀の上に日の丸扇を広げ、3度回った後で、扇に向かって耳に挟んだ矢を投げつけます。
地元の人たちにより温かい雰囲気のなかで行われるお祭りです。
【奈良まほろばソムリエの会 池内力】
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