ディズカバー!奈良
< 第42回へ 第44回へ >
第43回 2017年11月16日掲載
灯芯ひきを伝承 ―― 安堵町の歴史民俗資料館


い草栽培の田と安堵町歴史民俗資料館

安堵町歴史民俗資料館は、大阪府に併合されていた奈良県を1887年に独立させて再設置に導いた今村勤三の生家で、改装され1993年に開設されました。
安堵町は大和川右岸の低湿地にあります。かつて裏作で灯芯(とうしん)用のい草が栽培され、灯芯の一大産地でした。しかし、需要の低下により、68年を最後に一般のい草栽培は行われなくなり、現在は資料館北側のみで栽培されています。
灯芯は、よく水に浸したい草を「ひき台」の刃で外皮をひき裂き、芯である1bほどの「ずい」をひき出し、一束にまとめて乾燥させて作られます。
現在、灯明として、法隆寺や東大寺、春日大社のほか、油の神様・京都府大山崎の離宮八幡宮などに納められています。また、墨作りの採煙や茶事の灯(あか)り、和ろうそくの芯などにも需要があります。


【奈良まほろばソムリエの会 柏尾信尚】



保存会の会員による「灯芯ひき」=いずれも安堵町で

■メモ■

安堵町歴史民俗資料館へは、JR法隆寺駅または近鉄平端駅からバスで約10分、農協前停留所下車。
ディスカバー!奈良トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.