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第58回 2018年03月15日掲載
狛犬に感じる歴史 ―― 御所市の鴨都波神社


東参道入り口の狛犬=いずれも御所市の鴨都波神社で

 今年は戌(いぬ)年。神社にお参りをすると狛犬(こまいぬ)に目が留まります。
 JR・近鉄御所駅近くに古代豪族の鴨族が崇拝した鴨都波神社があります。東参道入り口で対座している狛犬は、どちらも口を開いた阿形(あぎょう)同士です。「なんで〜?」。 あんぐりと見つめる自分の口も思わず阿形になります。宮司さんによると、戦前までは銅製の狛犬でしたが、戦時中に供出され戻ってきませんでした。戦後の復興時、他所で探し求めて新たに設置されたそうです。
 また、拝殿前には阿吽(あうん)一対の狛犬が鎮座しており、台座に「初嵐」「京亀」と彫られています。明治時代に当地で勢力を持った「初嵐」と呼ばれた侠客(きょうかく)とその夫人が奉納した狛犬だそうです。
 静寂な境内で耳を澄ますと、時折吹き抜ける風が仲間を呼ぶ遠ぼえのようにも感じます。

【奈良まほろばソムリエの会 田原敏明】



拝殿前の狛犬

■メモ■

JR・近鉄御所駅より国道24号線沿いに南へ徒歩10分
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