石のカラト古墳は、奈良市と京都府の境の平城山丘陵に開発された平城・相楽ニュータウン内にあります。築造は8世紀の初め、平城京ができた頃と推定されています。「カラト」の名は諸説ありますが、石室が唐櫃(からびつ)に似ていることから付いたとされています。
所在地は奈良市神功1と京都府木津川市兜台2で、やや分かりにくい場所にあります。新興住宅地に囲まれ、近くの道路からは高台にあるので、そばを通ってもなかなか気付きません。
ニュータウンの建設に伴って発掘調査が行われました。墳丘は2段で上段が円形、下段が1辺約14bの方形の上円下方墳です。この珍しい墳形が初めて確認された古墳で、墳丘には全面に葺石(ふきいし)が復元されています。
埋葬施設は横口式石槨(せっかく)で、現在は埋め戻されています。盗掘されていましたが、石室内に漆塗りの棺(ひつぎ)があったらしく、漆の破片、金・銀の玉など豪華な副葬品が出土しました。
■メモ■ 近鉄京都線高の原駅から西へ徒歩約20分、または21番・77番のバスに乗り「兜台三丁目」の停留所で降りて、陸橋を上がると「石のカラト古墳緑地」があります。
【奈良まほろばソムリエの会 石田一雄】
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