吉野川の源流に近い大迫ダム(川上村)の奥にある入之波(しおのは)温泉の歴史は古く、江戸時代の古地図「大和国細見図(やまとのくにさいけんず)」に塩葉村と記されています。川の底からわき出る塩湯を求めてたくさんの湯治客でにぎわったようです。1973年に開業した山鳩湯はダム湖の斜面に建ち、玄関から見ると1階建て、湖から見ると3階建ての吉野建てと呼ばれる宿です。
奥吉野の秘境にある入之波は、全国でも珍しい天然の炭酸泉が大量に湧いています。お湯は無色透明ですが、空気に触れると茶褐色に変わります。濃い温泉成分が何層にも重なった厚みのある湯船も見どころです。お風呂から上がる時はシャワーで洗い流さないのが温泉効果を持続させるコツです。
四方を緑に囲まれたダム湖畔もいよいよ紅葉の季節を迎えます。露天風呂からの景色を眺めながらのんびりとした時間を過ごしてみてください。
【奈良まほろばソムリエの会理事 道ア美幸】
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