「義経千本桜」は、人形浄瑠璃(文楽)、歌舞伎の三大名作の一つとされ、1747(延享4)年11月人形浄瑠璃として初演。源平合戦後、兄頼朝と仲が悪くなった源義経と実は生きていた平家の武将たちとの物話です。
「鮨屋(すしや)の段」の舞台は下市のつるべ鮨屋。主な登場人物は、鮨屋の極道息子の「いがみの権太(ごんた)」、鮨屋にかくまわれている「平維盛(たいらのこれもり)」です。
平家の残党探しが続くなか、権太は偽の首を平維盛の首として源氏方へ差し出します。しかし、父親は権太が維盛を殺したと思い込み、権太を殺してしまいます。
この鮨屋のモデルが、現在も下市町にある「つるべすし弥助」です。また、町内には「いがみの権太の墓」もあります。関西では聞き分けのない子供のことを「ゴンタ」と言いますが、いがみの権太からきた言葉といわれています。下市町のマスコットキャラクターにも採用されています。
【奈良まほろばソムリエの会理事 大山恵功】
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