保存継承グループ 等彌神社(桜井市)で美化奉仕活動

保存継承グループは、4月23日(日)に社寺美化奉仕活動を桜井市の等彌(とみ)神社で実施しました。当日は好天に恵まれ、当グループから11名、ソムリエの会から8名の合計19名が参加し、青空と新緑の下、快い汗を流しました。

等彌神社は、橿原宮で即位した神武天皇が神々に感謝する「霊畤(まつりのにわ)」を設けたとされる鳥見山(とみやま、標高245㍍)の西麓に鎮座しています。平安時代の「延喜式」神名帳に記載がある県下有数の神社です。境内には天照皇大神をお祭りする上社「上津尾社」と、八幡大神・春日大神をお祭りする下社「下津尾社」が鎮座しています。神社南側には、奈良県内に7箇所(全国では19箇所)ある神武天皇東征の聖蹟顕彰碑の一つ、「鳥見山中(とみやまなか)霊畤(れいじ)顕彰碑」が建てられています。鳥見山山頂にある「霊畤」に向かう途中には霊畤拝所があり、境内には佐藤春夫、堀口大學、保田與重郎ら文化人の歌碑、句碑があります。

参加者は県内から15名、大阪から3名、名古屋から1名。前列中央は佐藤宮司。上津尾社拝殿前で

参加者のうち電車組は午前9時にJR・近鉄桜井駅南口に集合。徒歩で等彌神社に向かい、マイカーなどの直行組と「一の鳥居」付近で合流しました。一の鳥居は伊勢神宮内宮から拝受したものです。合流後、全員で上津尾社拝殿前に向かい、佐藤高静宮司のご好意でお祓いを受け作業の無事を祈った後、9時45分ごろから清掃作業を開始しました。作業は、神社南側の鳥見山中霊畤顕彰碑、鳥見山への登り口にある鳥見山稲荷社、鳥見山の「霊畤」を拝む霊畤拝所それぞれの付近の3エリアに分かれて行いました。神社からお借りした竹ほうきや熊手を使っての落ち葉かきを中心に、当会が持参した鎌で草刈りも行い、集めた落ち葉や草をガーデンバケツに入れ、指定された捨て場所まで運びました。

鳥見山中霊畤顕彰碑付近で作業をする参加者
鳥見山稲荷社付近で落ち葉かきなどを行う参加者
霊畤拝所付近で作業に取り組む参加者

3エリアだけではなく、それらの場所に向かう階段や小道にも落ち葉が積もっており、そういった場所でも落ち葉かきを行い、約1時間30分の作業時間で綺麗にすることが出来ました。等彌神社では毎年5月5日に春季大祭(例祭)が行われ、今回の美化奉仕は同大祭を間近に控えた時期になりました。作業を終えた3エリアなどをご覧になった佐藤宮司から感謝の言葉をいただきました。

鳥見山稲荷社から霊畤拝所に向かう階段の落ち葉かきを行う参加者

作業終了後、上津尾社拝殿に全員で上がらせていただき正式参拝を行いました。お祓い・祝詞奏上の後、玉串奉奠(ほうてん)で保存継承グループの小倉つき子代表が玉串を神前に捧げました。

玉串奉奠の後、佐藤宮司から江戸時代中期に神社境内から発掘された土偶にまつわる興味深いお話をお聞きしました。その土偶は高さ約20㎝で、どこか神武天皇と縁の深い八咫烏(やたがらす)に似ており、神社では「ヤタガラスご神像」と呼んでおられます。下津尾社の敷地内にあった磐余(いわれ)の松の根を掘り起こしていた近くに住む油屋の松屋甚兵衛が発見。持ち帰ると不幸が起きたので、お返ししてお詫びに境内に石灯篭を奉納したというものです。等彌神社のパワースポットを感じるお話でした。

境内で発見された八咫烏のような土偶(レプリカ)

保存継承グループ主催で実施する社寺美化奉仕活動は、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」の社会貢献活動の一環で行っています。次回開催時も会員の皆さんに参加募集する予定ですので、関心のある方々のご参加をお待ちしています。

文・写真   保存継承グループ  本井良明