「JR万葉まほろばウォーク」ONE TEAMで大成功!!

令和元年12月7日(土)、JR万葉まほろば線専用臨時列車で行く「JR万葉まほろばウォーク」が、奈良まほろばソムリエの会の主催、JR西日本大阪支社さんのご協力で、盛大に開催されました。
7月の報道発表から約5か月!当会主催による初のビッグイベントは、JR西日本さんの格別のご協力のもと、ガイドグループ・東エリア担当の石田一雄理事をリーダーに、ガイドG総力をあげて準備を重ね、下見も3回、回を重ねるごとに改善されていきました。当日は雨に降られることもなく、寒い風にさらされることもなく、ちょうどいいウォーキング日和となりました。
午前11:45 JR万葉まほろば線(桜井線)に参加者94名+当会ガイドGを中心にスタッフ約40名の合計140名ほどが乗り込み、新型車両・4両編成貸切列車の出発です!
車内アナウンスでは、ガイドGの佐々木むつみさんが当日のコースを伝え、続いて鉄田専務理事の紹介で、当会万葉集の達人・米谷潔さんの「万葉ミニ講話」が始まりました。

米谷さんは、万葉まほろば線の「まほろば」(真秀ろ場)とは「素晴らしい場所」であるということや、倭建命の歌「倭は 国のまほろば たたなづく青垣(あおかき) 山隠(やまごも)れる 倭しうるはし」、大伴家持の「新(あらた)しき年の始(はじめ)の初春(はつはる)の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)」をご紹介。
そして、「万葉集は7~8世紀の130年間を第1期~第4期に分けていること」「万葉集は歌集であるとともに歴史書でもあること」「原文はすべて漢字で、掛け算の知識もあったこと」「元号令和のこと」等わかりやすく解説されました。

乗客の方々は、しっかりと米谷さん作成の資料を読み、耳を傾け、柿の葉寿司のお弁当を食べながら、到着後に始まる「JR万葉まほろばウォーク」のために「頭の準備体操」をしておられました。
午後12:12 巻向駅到着。さぁ10班に分かれて、当会史上最大のガイドツアーのスタートです。
まずは、初期ヤマト政権発祥の地、邪馬台国の候補地として全国的にも有名な纏向遺跡と、卑弥呼の祭祀場跡かともいわれる大型建物跡をご案内。

続いて、前期古墳では全国8番目、奈良県でも2番目に大きい渋谷向山古墳(景行天皇陵)へ。

そして、その先には額田王歌碑。有名な長歌「味酒(うまさけ)三輪の山 あをによし…」や反歌「三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情(こころ)あらなむ 隠(かく)さふべしや」を。ここでは、ガイドさんの「犬養節」を聞かれた人も、いらっしゃったのでは?!

そして、ここから「柿本人麿 四連打です!」と。それぞれ揮毫者も違い、解説。
巻向の川音(かはと)、痛足川(穴師川)の川波、巻向の岸の小松に降る雪、流れゆく水沫(みなわ=水の泡)を詠んだ歌碑を巡っていると、万葉びとは自然を五感で味わい表現し、なんてひたむきで感性が高かったのだろうと、驚くばかりです。
また、高市皇子の万葉歌碑では、皇子と十市皇女の系図などを見せてもらいながら、2人の思いにも近づいていきます。
そして、午後2時頃にはどの班も檜原(ひばら)神社へ到着。

この神社が「元伊勢」と言われる理由、「三ツ鳥居」のこと、注連柱(しめばしら)を通して、春秋の彼岸の頃に二上山に沈む絶景の夕日の話などをされました。
(ここで、少し休憩)
また、万葉歌碑を求めて歩き出します。
すると、奈良時代末~平安時代初めの興福寺の高僧・玄賓(げんぴん)さんが隠棲された玄賓庵(げんぴあん)が見えてきました。ここでは、世阿弥作の謡曲「三輪」の話を解説。
さぁ、次にここを上れば、「大美和の杜(おおみわのもり)展望台」。藤原京に思いを馳せながら大和三山を一望します(雨でなくて良かったです)。
その後、医療と薬の神様をお祀りする狭井(さい)神社へ。拝殿奥には、万病に効くと言われる霊水の湧く「薬井戸」があり、皆さん順番に飲まれていました。
そして、最後の3つの万葉歌碑。長屋王、高橋活日(いくひ)命と、楽譜のついた倭健命の歌碑(黛敏郎さんが作曲された五線譜の歌碑)。ここで、1班のガイド(ガイドG研修リーダー)安井永さんは、コーラス部で培われたお声で「大和は 国のまほろば たたなづく青かき~♪」を歌ってくれました。(拍手~!)
そして、3時を過ぎると各グループは続々と終点の大神神社拝殿前へ到着。

晩秋の美しい紅葉(黄葉)が迎えてくれました。

ガイドの皆さんは、ご祭神・大物主大神のことやご神体山・三輪山のこと・巳の神杉(みぃさん)のことなどを話され、最後の挨拶をされていました。

参加者の皆さんは、お礼をおっしゃって別れた後、拝殿などを参拝され、(歩き続けたお疲れもあったでしょうが)さわやかな笑顔で家路へと向かわれました。
少し感想を聞いてみると…
「ガイドさんの詳しい解説がとても良かったです。」
「1人では出かけにくいけど、ツアーなら皆と行けるので安心でした。」
「電車の貸し切りなんて、めったになくて楽しかったし、万葉講座も面白かったです。」
「いつも万葉歌碑ってあったとしても見ていなかったので、1つ1つを教えてもらえてありがたかったです。」
「歩き慣れた所なんだけど、また話を聞いて新鮮な感じで楽しめました。」
「ガイドさんは、80歳近くなのにこれだけ歩いて展望所にも登って、ご立派です!」
「楽しかったから、ぜひまた企画して下さい!」等々、たくさんの感謝と新たな企画ご希望のお言葉をいただきました。
お客さまとスタッフ、総勢約140名、皆一緒に列車に乗って、お口には柿の葉寿司、お耳には万葉講座、そして歌碑を巡るウォーキング!「令和の記念に、みんなで万葉集を楽しみましょう」と当会とJR西日本さんがONE TEAMで進めた今回の企画、大成功裡に幕を閉じました。

文:ガイドG 増田優子 写真:鉄田憲男専務理事