WEBソムリエの風
48号 令和7年(2025年)8月1日


目次
炎熱地獄の底から
最高気温が40℃以上になる日を「酷暑日」と言うそうですが、先日はウチ(奈良市西部)の車の外気温度計が、ついに41℃を指しました。ご近所のノウゼンカズラだけが、涼しい顔で陽の光を浴びていました。暑い日はまだまだこれからが本番ですが、暑さに負けず、当会では様々な活動を行っています。(専務理事 鉄田憲男)
総会、講演会、懇親会を開催
6月8日(日)、ノボテル奈良で、当会は第13回通常総会、講演会、懇親会を開催しました。総会の前には、豊田理事長から保存継承グループへ、感謝状が贈呈されました(長年にわたり、歴史遺産の保存継承に尽力)。総会への出席会員総数は223人(うち実際の出席者88人、表決委任135人、会員総数447人)で、すべての議案が原案どおり可決されました。
この総会で、本井良明(もとい・よしあき)さんと吉田雅幸(よしだ・まさゆき)さんが新理事に就任、理事だった藤永泰雄(ふじなが・やすお)さんが退任されました(後述)。
総会の後の講演会では、西大和学園社会科教諭の浮世博史さんによる講演「宗教と古代史~知られざるエピソード~」をお話しいただきました。「宗教」という観点から読み解く古代史のお話で、斬新な切り口に出席会員は皆、真剣なまなざしで講演に聴き入っていました。
懇親会でも、初めてノボテル奈良を利用する会員が多く、地元食材を使った和風イタリアンに、舌鼓を打ちました。次の当会行事は「秋の文化イベント」です。11月29日(土)午後、奈良で活躍するおやじバンド「まほろばClub」を迎え、「当会15周年記念プレイベント」として、奈良ロイヤルホテルで開催します。
新「奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック」制作がスタート!
2~3年後の刊行をめざし、新テキスト制作の作業が始まりました。約20年使われてきた旧テキストの改訂版ではなく、書き下ろしにより「新版」を制作します。コンセプトは「メリハリのある実戦的なテキスト」です。大切なところは文章で、そうでない所は一覧表にする、など初学者にも分かりやすく覚えやすいテキストといたします(A4版横書き・約200ページ)。これに携わる執筆者は77人(今年ご入会のお2人を含む)、編集委員(チェック役)は13人、合計のべ90人で作業を進めます。出版社は、地元の一般社団法人「なら文化交流機構」(「月刊大和路ならら」の版元)、監修は、浮世博史さん(西大和学園社会科教諭)にお願いしています。
そのため、6月21日(土)には第1回編集委員会を開催。7月12日(土・本番)、13日(日・予備日)、21日(月祝・予備日)は、執筆者向け説明会を開催し、それぞれ、約50人、約10人、約10人のご参加をいただきました。説明会では、たくさんのご質問をいただきました。7月中に「執筆ジャンル」「編集ジャンル」の分担も決まりました。本年9月末には初回の締め切り日も到来します。
公式テキストの制作は、当会始まって以来の記念すべき大事業です。全国には約120ものご当地検定がありますが、公式テキストは、主催者である地域の商工会議所、観光協会、自治体、出版社が作っており、当会のようなボランティア団体が公式テキストを制作するという例は、全国でもレアケースです。良いテキストを作り、たくさんの方にこの素晴らしい奈良の魅力の伝道者になっていただきたいと願っています。
奈良テレビ「ゆうドキッ!」に出演中
奈良テレビ放送の「ゆうドキッ!」は番組の放送時間帯や構成が変わり、今は月1回、原則として第2水曜日の18時~18時半の「推しナラ」コーナーに出演しています。6月11日(水)に出演されたのは、当会会員の八尾鈴子(やお・れいこ)さんでした。八尾さんは、佐保川ホタルを守る会の中川英幸さん(佐保地区自治連合会・元副会長)に取材され、その取り組みを紹介されました。
「佐保川の蛍」は、室町時代に選ばれた「南都八景」の1つです。古くからこの地域では、たくさんのゲンジボタルが飛び交っていました。しかし近年、河川や水路の水質悪化やコンクリートによる護岸化、外来種の導入の影響などにより、ホタルの個体数は激減しました。佐保地区自治会は毎年、佐保川の清掃や環境整備、ホタルの餌となるカワニナの飼育などを行って来られ、それら地道な努力が実を結び、最近ではゲンジボタルが増加に転じたそうです。八尾さんは詳しい情報を入手され、それを担当ディレクターが図解され、分かりやすく説得力のあるコーナーとなりました。
大河ドラマのヒーロー、大和大納言・豊臣秀長で、観光を振興させよう!
2026年1月から始まるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公は、郡山城主だった豊臣秀長(秀吉の弟)です。奈良が大河ドラマの舞台になるのは、剣術家・柳生宗矩(やぎゅう・むねのり)の生涯を描いた「春の坂道」以来で、実に55年ぶりです。県内では大和郡山市、宇陀市、高取町などが大河ドラマ協議会を結成し、7月28日(月)の2回目の会合では、大河ドラマに関係する県内の自治体で「イベント」を開催することや、これら地域を「周遊」してもらう企画を実施すること、および県内外で「奈良県をPR」していくことなどが確認されました。
当会にも豊臣秀長に関する講演依頼が、多数、寄せられています。このほか2026年夏には、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録も射程に入ってまいりました。当会ではこの動きに協力するため、本年8月2日(土)から、全6回の「飛鳥・藤原まるごと博物館」検定初級編の受検対策講座を開催いたします(試験日は本年12月13日)。いわば来年は奈良の当たり年。当会は地元に根ざす地域貢献団体として、奈良の文化・観光の振興に今まで以上に取り組んでまいります。
新入会員さん 自己紹介!の観点から
お名前のあいうえお順です
井谷 喜一(奈良市)

幅広く奈良県のことを知りたいと思い勉強し、幸い合格しました。背中を押し続けてくれた仲間とソムリエの会のすばらしい講義のおかげと感謝しています。今は、ボランティアガイドと鹿の保護活動を行っています。会における活動と研鑽を通じて、これらの活動に深みを加え、奈良ファンを増やすことができたら本望と考えています。会の活動に参加し、楽しくかつ有意義な時間を過ごしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
大野 祐之(王寺町)

王寺町の大野祐之です。退職する頃になって、知識欲が高まってきました。奈良検定は、そんな私の欲求を満たしてくれる最適のツールでした。知識はゼロからのスタートでしたが、地元のガイドの会などでソムリエの方々と出会い、いろいろな事を教えていただいたり、励ましてもらいながら、今回合格することができました。これからは、ガイドとして、ここで学んだ知識で、奈良の魅力を発信できるように頑張りたいと思っています。
大野 弥生(王寺町)

王寺町の大野弥生です。夫から王寺町の奈良検定2級受験講座に誘われ、成り行きで始めた奈良検定の勉強でしたが、奈良のことを知れば知るほど奈良に魅了されました。王寺町に住んで30年、身近にこんな魅力的な場所があったのに、足も運ばず学んでこなかったことを今更ながら後悔しています。これからは、無為に過ごした時を取り戻すべく、会の活動に参加し、まだまだ知らない奈良の魅力をどんどん吸収し、発信していきたいです。
大橋 珠子(橿原市)

数年に亘る冬季受験勉強から解放された喜びを味わっています。知識が飛ばないように醸成させ、どう開放させるか学びたく入会しました。まずは読み仮名の憶え直しといった段階なのもあり、ゆっくりと何をしたいか考えたいと思います。
電動自転車やハイキング等で各所を回り、おいしいものを食べたり作ったりするのが好きです。まずは、奈良県全市町村を制覇したいです(あと数村!)。よろしくお願いします。
工藤 路子(新潟市)

新潟市在住の工藤路子です。奈良女子大の卒業生であることを生涯誇りにしていた祖母から幼き日に受け継いだ奈良愛を、まほろばソムリエという形にすることができて感激すると共に、これからが本当の研鑽であるという責任も感じています。高速で片道六百キロ、八時間の距離に加えて、内科医の仕事と、困難は多々ありますが、いつの日か奈良へ移住することを目標に頑張りたいと思います。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
小林 瑠美子(奈良市)

故郷鹿児島から関東へ。夫の転勤で奈良市に住んで33年。未だに関西弁が流暢でないのが悩み。パート、ちょこっとガイドと手話、韓国語、飲み会に推し活と寝る間を惜しんで人生楽しんでます。遠い世界の話だった奈良ソムリエに導いて下さった講座サークルの皆様、応援してくれた周りの方々に感謝。それと検定前10日間断酒した私の本気度を見て家事を担ってくれたお父さんありがとう。「アウトプットが大事!」肝に銘じて精進します。
斉藤 哲夫(大和郡山市)

はじめまして、斉藤哲夫と申します。生まれも育ちも大和郡山市です。学生時代に和辻哲郎の『古寺巡礼』と出会い、奈良の歴史や文化、自然の魅力に惹かれました。石舞台に登った日や二月堂からの夕日、日吉館ですき焼きを囲んだ思い出は今も鮮やかです。これからは、私が感じた奈良の感動を多くの方に伝えていけたらと思っています。
竹尾 隆一郎(名古屋市)

名古屋市在住、図書館司書。今回のソムリエ認定を活かし、図書館から奈良の情報発信をしていきます。先ずは修学旅行生(小学6年)向けの、奈良を堪能できる事前講座の開催。また、次の大河ドラマの主役が名古屋と奈良(大和郡山市)、双方に縁がある豊臣秀長なので、その関連イベント等も密かに検討中。これからも、奈良へは足繁く(※仕事や財布と相談…)通い、ソムリエの会の催しへも顔を出したいです。
土屋 侑子( )

日頃から神仏にお詣りをしていたおかげさまで、今回まほろば級に合格することができ、会に入会させていただきました。現在は奈良県内の宿泊施設で働きながら、奈良を体感できるアクティビティの企画などを行っております。前職の旅行会社時代の経験も活かしながら、奈良ファンを増やすお手伝いをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
野村 果代(和歌山県橋本市)

奈良への通学、通勤の経験はありませんが、古代史が好きで隣県に住んでいるため奈良県の特に南山地域には子供の頃から現在まで行く機会があり、とても親しみがあります。
アウトプットどころかまだまだインプットの足りない身ですので、これからももっと奈良県の様々な面について深く学び、その上で何らかの形でお役に立てるようになれればと思っております。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
橋長 初代(大和高田市)

大和高田市在住。6年前、大阪から奈良にUターン。子供の頃はほとんど関心がなかった地元、奈良の魅力に触れる機会が増えたのを機に、奈良検定にチャレンジしました。得意分野はとくにありませんが、古代から近代までの歴史上の人物にまつわる物語には興味があります。ソムリエの会の活動を通じて、推しの人物を探してみようと思います。趣味は家庭菜園で、父親が大切にしてきた小さな畑を引き継ぎ、野菜づくりにも励んでいます。
福岡 重範(桜井市)

約35年前に大阪から桜井市に越してきました。
勤務地が奈良でもあり、歴史や文化遺産には興味が有ったのですが、見学する機会を余り持てませんでした。
退職後は、奈良を深く知りたいと思い、ソムリエを目指しました。
テキストの寺社や遺跡を訪ねて歩き、改めて奈良の素晴らしさが実感出来ました。
これからは、自信をもって奈良の魅力を紹介したいと思います。
趣味は、エンジョイゴルフ、全国温泉と地酒巡り、古墳探索など。
森井 健太(奈良市)
(大和郡山市から8月に移住予定)

Uターンで奈良に帰ってきたのを機に入会させていただきました。
私は奈良に住んでいた時にはほとんど奈良の凄さが分からなくて、離れることでその魅力を再発見することができました。
この会の活動を通して、昔の自分と同じように、奈良の凄さに気づいていない人から奈良好きを少しでも増やすことができれば、と思っています。
また、先人が守ってこられたものを次の世代へと受け継いでいくことにも貢献していきたいです。
新入会員
挑戦したいです
新入会員
がんばります
新理事抱負
本井良明 新理事(保存継承グループ)

保存継承グループ担当の理事に就任しました本井良明です。大学生の時に大阪府高槻市から奈良市に転居し、以来奈良に住んで半世紀近くになります。この間、近鉄電車から平城京の大極殿や朱雀門を眺めながら通勤していましたが、ある日奈良に住んでいながら奈良のことをあまり知らないことに気付きソムリエ検定を受けることにしました。当会の入会は2012年ですが、まだフルで働いていたので、退職後の2022年から保存継承グループの活動に参加させていただいております。当グループは、寺社の美化奉仕をはじめ文化財や伝統行事の保存継承活動に取り組んでおり、自分には向いていると思いました。現在30人程度の仲間とともに楽しく活動に取り組んでおります。表に出るのはあまり好きではないので、今回の理事就任も当初お断りしたのですが、仲間の応援も頂いて就任させていただくこととしました。どうぞよろしくお願いいたします。 (2012年入会)
吉田雅幸 新理事(講演講座グループ)

これまで「奈良検定受験講座」や「奈良をもっと楽しむ講座」などを通じて、会の活動に参加してまいりました。この度、会の運営にも貢献できるよう、講座グループの理事を務めさせていただくことになりました。
講座グループでは、自身の学びを深めながら、気軽に地域への発信も行えるよう、多様な講座をご用意しています。私自身、拠点とする北葛城の歴史や地域の魅力を広く伝えていきたいと考えておりますが、皆様にもそれぞれの立場から奈良の魅力を発信していただければ幸いです。ぜひ講座にご参加いただき、ともに奈良の魅力を深めてまいりましょう。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(2019年入会)
退任理事メッセージ
藤永泰雄 前理事(講演講座グループ)

奈良まほろばソムリエの会は設立15年を迎えようとしています。奈良検定の「新テキスト」の全面書下ろしによる編集作業も始まりました。私が担当していました講演講座グループでも公民館講座サークルで「飛鳥・藤原まるごと博物館検定」の受験講座がスタートし、橿原地区での新規講座の計画も進んでいます。多くの計画が進む中ですが、吉田雅幸新理事に引き継ぐことにしました。これまでのご協力に感謝するとともに吉田理事に対して一層のご協力をお願いします。(2017年入会)
おすすめの本


日本遺産
「龍田古道・亀の瀬(たつたこどう・かめのせ)」をあるく 澤 戢三写真集
2025年6月19日
著者:澤 戢三
発行:一般社団法人なら文化交流機構
¥2200(税込み)
今回は、写真集のおすすめ本です。「もう、すべらせない!!」のキャッチフレーズでおなじみの日本遺産「龍田古道・亀の瀬」のプロジェクトメンバーに参加され、公式記録カメラマンとして活躍されています澤 戢三氏の写真集が、日本遺産認定5周年を記念し、満を持して2025年6月19日に発行されました。
当奈良まほろばソムリエの会にもカメラ撮影指導でお世話になっている方もたくさんおられることと思います。
写真集は全124ページに及び龍田古道と亀の瀬を余すところなく紹介されており、この地をビジュアル的に勉強してみたい人にはうってつけです。
王寺駅、三郷駅、河内堅上駅を含む見やすいウォーキングを主体にした広域観光地図も記載されており、この写真集を片手に歩くのもいいかと思います。
亀の瀬を一度はウォーキングしたくなりますよ!!
販売場所:三郷町 Gallery Kawari (三郷町立野北2-19-8:龍田大社のそば TEL 0745-51-8001)
(広報グループ 吉川 写真:澤 戢三氏より提供)
編集後記
関西万博2025が開幕して4ヶ月が過ぎましたが、みなさんはもう会場に行かれましたか?予約システムのない人気のパビリオンはやはり長蛇の列で、この暑い中並んでる方々には脱帽です。
まあ、人それぞれ楽しみ方もいろいろあって、建築美を楽しむ方、ひたすらスタンプだけを集める方、とにかく会場パビリオンを歩き巡る方、グルメに徹する方等々。話のネタに一度は行っておいた方がいいかもしれません。
さて、「ソムリエの風」48号ですが、去年と同様の特集号となります。今年度は、奈良検定ソムリエ級に25名の方が合格され17名の方が新しくソムリエの会に入会されました。新入会の方々の紹介(掲載了承の方)と新任理事・退任理事のご挨拶を軸においています。
新入会者の方々のこれからの活躍に期待するところ大です。がんばって楽しんでくださいよ~~~。次回49号は10月発行予定です。
(広報編集者)東・礒兼・井原・今中・風間・柏尾・佳山・窪田・小林(誠)・阪本・島田・中村・野原・廣岡・福岡・二上・藤崎(俊)・藤田・松原・松森・吉川