交流部会歴史地理サークル第1回探訪 交流部会歴史地理サークル主催の史跡めぐり

このほど10月27日に、奈良まほろばソムリエ友の会交流部会歴史地理サークルの第1回探訪催事が実施された。今回は「龍王山古墳群と南城跡を訪ねて」というテーマである。
標高586mの龍王山を登り城跡と古墳群を探索するという企画である。
あさ9時半にJR桜井線の柳本駅集合、16時解散というスケデュール。柳本なる駅にはこれまで行ったことがなかったが、このところ北山の辺の道や三輪山行きで相次いで桜井線を利用しているので勝手知った路線となった。
駅を降りると抜けるような秋の青空が広がっていて、いやがうえにも登行意欲がかき立てられる。
駅前広場で世話人の方から資料を手渡され一応ざっと目を通す。そのあとサークルリーダーの豊田氏から挨拶とスケデュール、注意事項などを聞く

駅前で資料に目を通す一行

龍王山について
龍王山という名の山は全国に62カ所あり岡山県や広島県など西日本に多い。
奈良県天理市の龍王山は奈良盆地の東側に連なる青垣の盟主で美しい山容である。頂上付近には龍王社が祀られていて山名の由来となっている。
戦国の武将十一遠忠が16世紀の初めに山頂に山城を築いたが、その息子遠勝の時松永久秀に攻められて落城した。今は城跡の土塁などが残っているが、特に展望に優れ、奈良盆地を一望のもとにできる好展望台でもある。

柳本藩陣屋の面影が残る閑静な道を一路龍王山を目指す

9時35分定刻通り出発する。一行は19名。前回の再発見サークルに参加された方も数名来られている。この方々はこれからも史跡めぐりの常連になられるかも。
今回はパスするが柳本の見どころはなんといっても黒塚古墳であろう。道中の左側、水をたたえ周濠に囲まれた前方後円墳が間近に望める。かつて33面の三角縁神獣鏡や画文帯神獣鏡などが出土した時は大騒ぎになったところである。
天理トレイルセンターを過ぎて、長岳寺から山道が始まる。空海により創建されたこの寺は、ちょうど今、寺宝である狩野山楽の筆になる大地獄絵図が公開されている。
周囲は柿などの果樹園でたわわに実った柿が食欲をそそる。

ここまではなだらかな道が続く


果樹園が終わると道は勾配を増し、谷道特有の掘割道になりやや歩きにくくなる。
途中不動明王の石仏があり足を止めて参拝する。さらに道は急坂になり階段も混じり一気に汗が噴き出す。
今朝は気温がかなり下がり出がけには厚着をしてきたため全身汗まみれ。

私も含めて大半が高齢者だと思うので、こまめに休憩を取りながら進むがそれでも息が上がる。

立ち止まっての休憩であるがそれでもホッとする
さらに急坂は続き列が乱れだす。先頭の集団は体力があってしっかり歩くので、ついていくのが大変。

11時40分 それでも時間がたてば全員笑顔で頂上直下の林道に到着。あと一息で頂上である。

林道わきには案内板がありトイレも設けられている
田龍王社に参拝して頂上直下の土塁を駆け上がれば龍王山城跡の広場に躍り出る。
12時10分 2等三角点標高585,7mの龍王山である。出発から2時間30分、全員無事登頂した。
西に180度以上の視界が開け眼下には奈良盆地、北から生駒山、矢田丘陵、西に金剛、葛城、二上山が望まれる。ただ今日は申し分ない晴天ではあるが小春日和特有のかすみが少しばかりかかり、景観は必ずしも鮮明とはいかないのが少し残念である。それでも大和三山や大王クラスの古墳群が、さらには広大な大和平野が手に取るように眺められるのは、一行の日頃の行いが良かったせいだろう。
東側では木間越しに田原の里や名阪道、笠荒神社の方も垣間見ることが出来る。

ストックで指しながら思い思いの説明会が始まる

シャリバテのせいもあってかなり疲れたがやっと昼食にありつけた。頂上広場はベンチがたくさんあり食事をするのに都合がよい。食後女性のメンバーからチョコレートなどを頂く。

食後 自己紹介が始まる 名前だけかと思えばミニトークの方もおられて和やかなひと時

全員の集合写真 日照りがきつくコントラストの強い写真になった。帽子着用の方が多かったので眩しくはなかったが・・
1時間ほどの休憩で再び出発。今度は下りばかりで体力的に負担は少ないが、石ころ交じりの悪路が続きしかも急坂であるため難渋されている方もあった。山は登りは馬力、下りは技術とは良く言ったものだ。
14時 1時間ほど下って今日のもう一つのテーマである龍王山古墳群に着く。総数600基以上の群集墳である。数の上では全国最大規模の大型群集墳で6世紀から7世紀に築造されたものらしい。横穴式石室墳が多いのもここの特徴である。

石室を覗く お宝発見?

やがて山道はいつの間にかおわり林道に出る。ここまでくればあとは散歩気分で歩ける。
双方中円墳で有名な櫛山古墳に着いて、ついでに墳丘に登る。墳頂には竪穴式石室の跡のような窪みがあり、石室の破片のような凝灰岩らしきものが散らばっている。

櫛山古墳の墳丘 下を向いて何かを探しているようだ

崇神天皇陵を左に見て山の辺の道を進む。

終わりが近づいてくると全員にこやかに整列してあるくのも微笑ましい
15時20分 天理トレイルセンターに到着。ここで解散式を行い本日の行程は無事終了しました。

帰りの国道付近から振り返ると今登ってきた龍王山が彼方にそびえていた。右の森は崇神天皇陵。終わってみると山登りはやはりいいですね~
最後まで雲一つない絶好の晴天に恵まれ、しかも参加された方々のお人柄の良さもあって実に楽しい一日を有意義に過ごさせていただきました。
リーダーをはじめ企画からいろいろお世話してくださった方々に厚くお礼を申し上げますと共に、今日ご参加の皆様には大変お世話になりありがとうございました。またこの次の機会にもよろしくお願い致します。

奈良まほろばソムリエ友の会 小北博孝