まほろば歳時記

1月 石光寺の寒牡丹

葛城市にある石光寺は、中将姫伝説ゆかりの寺院です。
境内には中将姫が蓮糸曼荼羅を織り上げた際に蓮糸を染めたという井戸「染めの井」と、 糸を干したという「糸掛桜」があり、通称「染寺」とも呼ばれています。
そんな石光寺で12月から1月にかけて見頃を迎えるのが寒牡丹。
庭園では、約40種が順番に花を咲かせていきます。 寒さに耐えながら可憐に咲く寒牡丹を、ぜひ一度ご覧ください。

2月 太子道

聖徳太子を祀る法隆寺では、毎年2月22日と11月22日に「太子道をたずねる集い」が開催されます。
2月は、太子の御命日であり、葬送の道とされる「磯長ルート」。
輿にのられた太子像を先頭に、法隆寺の僧侶の同行で御廟のある太子町の叡福寺に向かいます。 (20キロ程度・途中交通量の多い穴虫峠付近はバス移動)
途中、達磨寺・尼寺廃寺跡などのポイントなどでは講師の先生の解説もあり、終日太子の足跡に触れながら過ごすことができます。 (写真は尼寺廃寺跡での風景)

3月 椿寿庵の椿

大和郡山市にある「椿寿庵」は、個人のお宅で丹精込めて手入れされた椿を無料 で公開されている椿園です。
ビニールハウス内に所狭しと並ぶ椿は約1200種類。
品種ごとに開花時期が違うため一斉には咲きませんが、3月の上旬が一番見頃、 そして下旬まで楽しめるとのことです。

4月 氷室神社のしだれ桜

氷の神様で知られている氷室神社は、毎年5月1日の献氷祭では、タイやコイを封じ込めた氷柱が供えられます。まさに氷の芸術です。
もう一つ賞嘆の声が聴かれるのが、3月下旬から咲き誇る“奈良一番桜”と呼ばれる樹齢100年のしだれ桜。
古都奈良に春の訪れを告げてくれます。

5月 当麻寺の練供養

中将姫が当麻寺で現身のまま成仏されたという伝承を再現したのが、聖衆来迎練供養会式と呼ぶ名高い法会です。
25菩薩が練りながら娑婆堂に進み、このとき観音菩薩は、蓮座を捧げ、中将姫を蓮座にすくい上げる格好をしながら進みます。
帰りは、観音菩薩が蓮座に中将姫を乗せて、来迎のときと同じ身振りで極楽堂に入ります。丁度その頃には、夕日が傾き、観音菩薩の光背に夕日が照り輝きます。

6月 大和文華館のササユリ/笹百合

日本自生の日本を代表するユリです。近鉄学園前下車して徒歩7分ほどの位置にある 大和文華館は、豊かな自然環境の中、四季折々の花を楽しめるところです。
5月の終わり頃から6月にかけて可憐な花を咲かせる笹百合が咲き初めます。

7月 奥田の蓮取り行事

大和高田市奥田の捨篠池のハスは、毎年7月に営まれる金峯山寺の伝統行事「蓮華会」で蔵王堂に供えられます。
法要後行われるユーモラスな蛙飛びで有名ですが、あまり知られていないのが、当日の朝、修験者たちがこの池を訪れ、古式ゆかしい作法でハスを採取する「奥田の蓮取り行事」です。
修験者の一行は、役行者の母・刀良売の墓を詣でてハスを捧げ、吉野に向かうのです。

8月 奈良の大文字送り火

奈良の大文字送り火は戦没者慰霊と世界平和を祈る火の祭典です。
8月15日午後6時50分より飛火野で慰霊祭が行なわれ、午後8時高円山の「大」の字に点火されます。
「大」の字は宇宙を意味するといわれており、「大」を形作る火床の数は人間の煩悩と同じく108つあります。
「大」の大きさは、第一画目が109m,第二画目が164m,第三画目が128mあり、日本最大級を誇ります。
奈良の大文字送り火は、市内各所から眺めることができます。

9月 猿沢池の采女祭

猿沢池の畔、采女神社のお祭です。
采女が帝の寵愛の衰えたのを嘆き、名月の夜猿沢池に身を投げた。
帝が不憫に思われ、池のほとりに社を建てて采女の霊を慰められたが、わが身を投じた池を見るにしのびないと、一夜のうちに池に背をむけてしまったので、祠が後ろ向きになったと云われている。
十五夜の月の出と共に花扇舟が静かに池を巡り、やがて花扇は水面に浮かべられ、采女の霊を慰めます。

10月 曽爾村の獅子舞

「お葉つきイチョウ」で知られる、曽爾村の門僕神社では、 毎年10月の体育の日の前日の日曜に、村内の長野・今井・伊賀見の3地区が 競うように「獅子舞」を奉納します。
「悪魔払い」「接ぎ獅子」など厳粛な舞のみならず、天狗やオカメ・ヒョットコ、面をつけた子供との共演 などとても微笑ましい演目も多く、境内には和やかな空気が広がります。

11月 おふさ観音のバラ

バラが咲く寺として有名な橿原市にあるおふさ観音。
こちらの境内には春と秋の年2回、約2,300種、2,500株のバラが優雅に咲き誇ります。
副住職が中心となって丹精込めて育てられたバラ。年々数が増えているのだそうです。
バラの香りに包まれた境内を散策・・・。心安らぐ贅沢なひとときを過ごすことができます。

12月 春日若宮おんまつり

保延2年(1136)に関白藤原忠通が五穀豊穣を祈って始められた国の重要無形民俗文化財の伝統行事です。
17日は午前零時より「遷幸の儀」が始まります。
正午からは平安から江戸時代に至る古式ゆかしい時代行列の「御渡り式」が奈良市街を練り進み、御旅所で国の平安を祈念する祭典が行われ、夜遅くまで神事芸能が奉納されます。