まほろば歳時記

1月 大神神社の繞道祭

大神神社の繞道祭(にょうどうさい)は、大和の新年一番の祭りといわれています。
元旦の未明、拝殿の三ッ鳥居が開かれ、古式に則り神地で御神火が燧(き)り出されます。この御神火が大松明に移され、摂社・末社18社を清めて巡るという祭です。
松明は、勇壮な太鼓とワッショイ、ワッショイのかけ声に合わせて大美和青年会などの氏子らにより運ばれます。

元旦、午前2時(頃)に大神神社境内を出発、午前3時に檜原神社で松明替え、空が白むまで松明は三輪山周辺を駆け抜けます。

2月 お綱まつり

お綱祭りは、毎年2月11日に桜井市内の素戔嗚命神社で行われる祭りで、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
素戔嗚尊と稲田姫命の結婚の儀式で、重さ600キロ、長さ100メートルの大しめ縄、雄綱と雌綱が神前で出会い、夫婦の契りを結ぶ勇壮な農耕神事です。

3月 ちゃんちゃん祭り

「祭り早いは ちゃんちゃん祭り 祭りじまいは おん祭り」と謡われる大和(おおやまと)神社の春の祭は4月1日である。
御祭神、日本大国魂大神(やまとおおくにたまのおおかみ)が領内をお渡りされるお祭りであるが、供奉する村人のきらびやかな武具・装束が人気の的である。
長岳寺の僧兵が、行列の到着を知らせるために叩いた鐘の音から「チャンチャン祭り」と言われている。

4月 川路桜

奈良佐保川べりは万葉集にもよく歌われました。法蓮町から県立図書情報館あたりの佐保川は桜の名所で、幕末の奈良奉行の川路 聖謨(かわじ としあきら)は奈良に桜や楓を植えたことで有名です。
川路桜といって150年今も咲き誇る桜が佐保川にあります。川路 聖謨はその後、江戸に戻りロシアとの交渉など幕末に活躍しました。

5月 向渕のすずらん

宇陀市向淵と奈良市都祁の吐山(はやま)のすずらん群落地は天然記念物(国)に指定されている。
100万年も前の寒冷期には奈良県にはどこにもすずらんが咲いていたが、その後の暖期に死滅、北進したとのことである。しかし向渕や吐山では、高度が高くて、北西向き、涼しい風も吹くという地形で、温度の時間差が少なく、地中温度が低いなどの特異な環境がありすずらん群生が生き残った。見ごろは5月20日ころである。

6月 談山神社のアジサイ

談山神社は江戸時代までは神仏習合の妙楽寺だった。
その後の廃仏毀釈の嵐の中、幾多の仏像は寺を去ったが、唯一残された仏像が如意輪観世音菩薩である。
神社は、6月の第4日曜日に、この菩薩を前にして「観音講まつり」を開催する。仏を前にしての神職の祭りごと、これも歴史の断面を垣間見るよい機会でもある。
「観音講まつり」のころ、談山神社のアジサイは咲き乱れる。

7月 岡田の谷の半夏生園

奈良県の準絶滅危惧種に指定される半夏生(はんげしょう)。
名前の由来は、7月1日(2日)に当たる半夏生の頃に花を咲かせることとする説と、葉の半面が白いので半分化粧(けしょう)したとの意味からとする説があります。
また、葉の表面だけが白くなることから、古くから片白草(かたしろくさ)とも呼ばれています。棚田に群生している半夏生、夏の涼となり見る人の心を癒してくれます。(御杖村神末)

8月 燈花会

奈良公園に毎夜2万の灯火が揺れるなら燈花会、今年17回目の夏を迎えます。
夏の風物詩としてすっかり定着して参りました。ボランティアのご努力も見どころの一つ。
今夏も多くの皆様お出かけください。8月5日から14日の10日間です。

9月 本薬師寺跡のホテイアオイ

本薬師寺跡近くの休耕田で、この時期に見ごろを迎えるのはホテイアオイ。薄紫色の可憐な花は訪れる人たちを魅了します。茎の付け根がふくらみ七福神のほてい様のお腹のように見えることが名前の由来とか。

10月 大仏殿の紅葉

東大寺大仏殿の北側には大仏池や正倉院などがある。かつて東大寺の講堂のあったあたりは、秋の風情が漂う。
10月から11月にかけては、紅葉が進み人の目を楽しませてくれる。
大仏殿の南側の人々の賑わいから、人気の少ない大仏殿の裏へ。この時期、散歩におすすめのスポットです。