まほろば歳時記

1月 茅原のトンド

「茅原のトンド」。トンドとは、正月飾りなどをたき上げる火祭りのことです。御所市茅原の吉祥草寺境内で、毎年小正月前日の1月14日に行われます。
トンドは無病息災を祈って各地で行われますが、こんなに豪壮で、しかも町なかで行われるのはとても珍しいことです。

2月 網掛祭

初瀬川をはさんだ桜井市の江包と大西は2月11日に「お綱はんの結婚式」を行う。
江包は9日に男綱を作る。その大きさを確かめてから大西は10日に女綱を作り「結婚式」に備える。
それぞれが600㎏以上という日本有数の巨大な「お綱はん」で、全戸からの参加で作業がすすめられる。
各戸からの持ち寄りとされていた藁束の確保に苦労している。女綱の形が見えてきた市杵島姫神社(大西)の作業風景である。

3月 月ヶ瀬梅林

奈良市東部の月ヶ瀬地区に咲く約1万本の梅。さまざまな梅と出会えます。
梅まつり期間中はJR・近鉄奈良駅から臨時バスが運行されます。

4月 天空のしだれ桜“高見の郷”

2004年にオープンした桜の新名所。
東吉野の美しい山々を背景に、約1000本のしだれ桜が山肌をピンクに染める風景は見事です。

5月 璉珹寺(れんじょうじ)

紀寺とも呼ばれ、花の寺として知られています。
5月1日から31日まで本尊・裸形阿弥陀如来が特別に開帳され、オオヤマレンゲが見頃です。

6月 率川神社のゆりまつり

6月17日に率川神社で三枝祭、別名ゆりまつりが行われます。
その前日の16日には、大神神社から「ささゆり」を届ける「ささゆり奉献神事」が行われ、行列がJR奈良駅に着き、駅から率川神社へと向かいます。

7月 興福寺三重塔の弁財天供(べんざいてんく)

興福寺の三重塔の初層東側須弥壇には、弁財天像が安置されています
。 弘法大師空海が、南円堂の無事完成祈願で天川大弁財天社を参籠した際に感得した弁財天を、興福寺に勧請したと伝えられ、元は旧塔頭・世尊院の仏像でしたが、明治になって三重塔に祀られるようになりました。
通常非公開ですが、毎年7月7日に特別開扉されます。

8月 賈太神社・阿礼祭

古事記は、抜群の記憶力の持ち主だったと言われる稗田阿礼が暗誦した旧辞や帝紀の内容を、太安万侶が記述し編纂したものと伝えられます。
大和郡山市の賈太神社は、稗田阿礼を祭神とする神社です。毎年8月16日には「阿礼祭」が行われ、地元の小学生たちによって「阿礼さま踊り」が奉納されます。

9月 白毫寺の志貴親王御忌

白毫寺は、天智天皇の第七皇子・志貴親王の山荘を、親王の没後に寺に改めたのが始まりと伝えられます。
「高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに」という万葉集にも収められている歌は、親王が亡くなった時に笠金村が哀悼の意を込めて詠んだ歌と言われています。
1980(昭和55)年には境内に金村の歌碑が建てられ、これを機に毎年敬老の日(今年は9月18日)に親王を偲ぶ法要が行われるようになりました。

10月 東大寺・僧形八幡神坐像特別開扉

僧形八幡神坐像は、東大寺の鎮守・手向山八幡宮の御神体でしたが、明治の神仏分離、廃仏毀釈により東大寺に移されました。
神像は快慶の代表作で、勧進所内の八幡殿に安置されています。秘仏ですが、毎年10月5日、転害会の法要後に特別開扉されます。

11月 錦の里・正暦寺

正暦寺は、992(正暦8)年、一条天皇の勅願により関白九条兼家の子、兼俊僧正が創建しました。同寺は、紅葉の名所で、「錦の里」と称されています。 福寿院客殿の庭園は、背後の山を借景しており、鮮やかに色付く木々を観賞することができます。

12月 東大寺・良弁僧正坐像特別開扉

良弁僧正は、東大寺の初代別当です。幼い頃、鷲にさらわれ杉の木に引っかかっていたのを義淵僧正に助けられ、東大寺にあずけられたと伝えられています。 良弁僧正坐像が安置されているのは開山堂。秘仏ですが、年一回12月16日に、良弁忌の法要終了後に特別開扉されます。(写真では拝観無料となっていますが現在は有料です。)