まほろば歳時記

1月 若草山焼き行事
「若草山焼き行事」は、冬の奈良を彩る伝統行事です。使用される御神火は「春日の大とんど」から採火され、聖火行列とともに若草山へと運ばれます。興福寺、東大寺、春日大社の僧侶や神職が金峯山寺の法螺貝の音に先導されて進む行列は、神仏習合の面影を感じさせます。そして、奈良県内でも最大級とされる大花火が打ち上げられた後、消防団員が草地に一斉点火。若草山全体が炎に包まれていくのです。(礒兼 史洋)

2月 竹の寒干し
冬になると、生駒市高山地区では、竹を円錐状に組んで天日干しをする「竹の寒干し」が行われます。寒気にさらして水分を抜くことで、竹本来の風合いを引き出すためです。この竹を材料に作られる「高山茶筌」は、国産のシェア90%以上を誇り、国の伝統的工芸品にも指定されています。近年、海外での抹茶人気が広がりをみせており、高品質な茶筌にも注目が集まっています。(礒兼 史洋)