佛隆寺から龍の棲む妙吉祥龍穴へ
桜咲く宇陀路ウォーク「佛隆寺から龍の棲む妙吉祥龍穴へ」
2012年4月14日(土)
最近の交流部会イベントは、日ごろのおこないが悪い人がいるのか「矢田丘陵」「今井町」に引き続き、今回も雨。それでも天気予報では午前中にはあがるとのことで決行。近鉄榛原駅に20人が集合。ちょうどいい時間のバスがないため、タクシーに分乗して「高井」バス停まで。
雨の中を歩きだしてすぐの「宮田家」前で真っ直ぐ佛隆寺に向かう道から分かれて「伊勢本街道」へ、街道沿いには昔、お伊勢参りの往来のにぎわいを今に伝える古民家・旧宿屋が点在、5分も歩くとその一つ、「松本家」に、ここは大名など身分の高い方も利用した「旅籠」であった建物で、屋内に馬を繋げる造りになっている。今でいうところの「屋内駐車場付ホテル」か。
「津越家」を過ぎたところで、伊勢本街道を右に分けて、佛隆寺へ向かう。手前の坂の下から、「千年桜」が望めるので期待して急坂を登る。見えてきた。あの木のはず。ガーーーン、全くのつぼみ!!
今年は花が遅いから3~5分咲きくらいかなと覚悟はしていたが、開いている花は「ゼロ」。それでも周りには5分咲くらいの桜もちらほら見え、気を取り直して奈良三名段のひとつといわれる197段の石段を登り、佛隆寺へ。
「大和茶発祥の地」の碑を左に見て本堂へ、ご本尊の長谷寺式十一面観音を拝した後、ご住職のお話。空海が唐から持ち帰った茶の種子と茶臼にまつわる説話に加え、「発祥の地」の碑の下には「狭山」「静岡」「宇治」「大和」「九州」の茶を入れたタイムカプセルが埋められており、将来掘り出して飲み比べ、大和茶が一番おいしいことを確かめたい、などの話を伺う。
茶臼を間近で見、当山開基の堅恵(けんね)大徳が入定したといわれる「石室」などを見学し終わっても雨は降りやまず。仕方なく、地元の集会所の軒先を借りて慌ただしく昼食。
いよいよ、本日の行程の難所「室生古道」の登りにかかる。雨と急坂でみんな黙々と歩き、30分ほどで、役行者が迎える唐戸峠着、残念ながら眺望はゼロ、休憩も早々に歩き始める。ここからは舗装道路のなだらかな下り、みんなの歩速もぐんぐんあがり、予定より早く、「西光寺」を見下ろす腰折地蔵へ、この頃には雨もやっと上り、木立の間からピンクの桜が見え、期待を膨らませ、西光寺へ下る。
樹齢300年のしだれ桜は、5~7分咲き、それでも「千年桜」よりずっと綺麗と自分に言い聞かせ、室生寺を見下ろしながら龍穴神社へ、
見事な杉木立に囲まれた境内で参拝のあと「妙吉祥龍穴」へ、最後の力で振り絞り坂を上る。猿沢池・春日山から龍が移り棲んだと言われる龍穴はさすがに神秘的。いっぱいのパワーをもらって、室生寺へ戻る。
桜咲く太鼓橋の前で解散、バスで室生口大野駅へ向かう。駅の手前でバスから見えた「大野寺」ではしだれ桜が満開、ほとんどの人が降りて参拝。本日の桜の欲求不満を一気に解消しました。それにしても花の見ごろ時期を想定した企画の難しさを実感しました。
大雪の2月とリベンジの3月の下見に参加いただいた方々ご苦労様でした。また松本家の手配をいただいた交流部会の藤村清彦さんには多大な感謝をいたします。
当日の解説は地元榛原在住のソムリエ・中西巌さん。地元ならではの様々なお話をありがとうございました。
最後に注意事項です。伊勢本街道沿いの古民家はどれもまだ実際に住まいとして使われています。通常は外観を見るだけにとどめて、近づく場合は必ず許可を得てからにしてください。マナーの悪い観光客も多いとのことです。
(文と写真)社寺探訪サークル 小林誠一