葛城古道モニターツアー体験記

ソムリエサポート部会 5月17日(木)実施

サポート部会結成後、月例会議でコース内容やガイド心得などを様々な角度から話し合い、葛城古道担当ガイド(10名)が数回の下見や実地研修を行い、改善すべき点を検討してきた。5月より部員の紹介によるグループを案内することになり、最初の「葛城古道モニターツアー」を5月17日に実施した。
紹介者によると、グループ(10名)は会社OBの集まりで、定期的にウオーキングや道筋の寺社探訪を楽しんでいる仲間だそうだが、ウオーキング後の飲み会を楽しみに参加する者も多いそうだ。下見後、2次会の場所探しに付き合った。御所駅近くのファミレスでビールと酒の肴数皿を注文、幹事さんの決め手は1玉65円(2玉130円)の月間サービスメニューの「うどん」だったようだ。
モニター・ツアー募集案内は「葛城古道―神話の神々と古代天皇・古代豪族の古里を歩く(歩行距離:約13km、健脚向き)」と紹介されている。葛城古道コースは交流部会でも実施し、つれづれ日記に平成23年12月2日付で寄稿されたので、本稿ではコース紹介は省略します。本日の参加者は歩くのは苦にならない健脚揃いだそうだが、今後の本格活動の中心顧客になる中高年者層を考えて、下記のコース変更2点を代表者である紹介者と事前確認を行った。
1.高天彦神社への急坂道を止めて、菩提寺経由の山道を辿る。
2.一言主神社より24号線御所幸町へ出て御所駅への帰路はバスを利用する。
いよいよモニター・ツアー本番日。昨今の葦原中ツ国の世の乱れに御立腹されたのか、天照大御神は今日も姿を見せられず残念。もう一つの案内文句「眼下に大和平野を眺め、季節の風景を愛でながらウオーキングを楽しみましょう」には今一つの曇り空。まあ、今日は2次会のビールを楽しみに歩いてもらいましょうとバスに乗る。幼稚園の一行が途中乗車してきた。社会勉強を兼ねているのか、園児は車内では座らずにバス代を各々払って下車したので、バスは予想外の遅れだ。天孫より自分の孫を思い浮かべているのだろうか、乗客は園児の様子を楽しんで見ている。10数分遅れで風の森に降り立つ。今年は古事記完成1300年、「古事記を読んだ人は?」の質問に手が挙がらない。それでも参加者は「神様・仏様・稲尾様(村山様かな?)」の野球狂世代、高鴨神社や高天彦神社では神話の神々の話を、菩提寺や極楽寺では相方女性ガイドの寺伝や伝承話に耳を傾け頷いている。
さすがウオーキング愛好者の面々、菩提寺経由の山道を苦も無く登る。菩提寺山門の仁王像も結構迫力があった。御所市観光課の最新ビデオで紹介されていた「白雲の峯」を眼前に臨むことが出来た。「背後の白雲の峯を御神体とし、古事記の伝える最初の三柱の神の一人、高御産巣日神を祀る高天彦神社は・・・」と今まで説明しながらも、急坂経由では見えそうで見えない白雲の峯に対して抱いていた「モヤモヤ感」が一掃されたと喜ぶ。しかし・・・、以下は後日談です。後日、別のグループを案内したガイドが「高天彦神社の裏山は二重になっていて、手前が灯明山(とうみょうざん)、後ろ側が高天山(白雲の峯)」と高天原友の会から聞いたと連絡してくれた。「ウ~ン・・・、又々白雲の峯に靄が出て来た」の感あり。「触らぬ神に祟り無し」か「知らぬが仏」を決め込むにはガイドの良心が許さぬ。歴史愛好者グループには観光課の説明「おむすび型の白雲の峯と高御産巣日神の産巣日(むすび)との連想」を採るか、山歩き愛好者グループには高天原友の会説を伝えるか悩めるところである。高御産巣日神様、如何致しましょう?

おむすび型の白雲の峯 (二つの稜線見える?)
極楽寺山門前

高天原より下山後、名柄集落を歩いて一言主神社へ向かう。途中、醸造所や堺屋太一の実家前を通り、彼が献納した新しい燈籠が建つ長柄神社で小休止。参加者の皆さんは神話の世界より現身の世界へ戻り、酒談義や維新塾を巡る俄か政談も暫し始まる。ガイドは「政・神」分裂にならない程度に、政治・酒などの雑知識も必要だ。一言主神社では古事記の伝える一言主神と雄略天皇の話や「葛城」の地名の由来となる土蜘蛛の話が中心。無残にも上部を伐採された銀杏の巨樹は神気よりは哀感を漂わせている。昨秋の下見で取った写真を見せてその復活を願う。

昨秋下見で撮った銀杏の樹

境内にある句碑「葛木之 基津彦真弓 荒木尓毛 憑也君之 吾名告兼」を見て、以前の下見研修でその難解な解釈を巡って神主を呼んで訊ね、御所駅帰着が大幅に遅れたことを思い出した。ガイドの必須条項「時間厳守」、余裕をもって24号線の御所幸町バス停に向かった。バス停まで25分要したが、その間私語話ばかりで特に説明することもなかった。これなら高丘宮跡碑を辿り猿目橋バス停へ出る方が、景色も良く歩きながらの説明も出来、時間的にも同じ位だ。バス便は季節限定なので要注意。
ツアー終了後、回収したアンケートは他のモニター・ツアー分と一緒に、後日部会にて検討し、更なる改善に利用させてもらうことにする。お客様に楽しんでもらい、ガイドも又楽しませてもらうツアー・ガイドを目指して部員一同頑張っています。

サポート部会 田原敏明