東京国立博物館「大神社展」

東京国立博物館にて「大神社展」が開催されています。
うたい文句は「過去最大の神道美術展」。
そうそうたる国宝、重文が展示されていました。
第1章 古神宝、第2章 祀りのはじまり、第3章 神社の風景、
第4章 祭りのにぎわい、第5章 伝世の名品、第6章 神々の姿
とコーナーを分け、そのテーマ毎に神道美術を展示しています。
奈良からも数多く出展されていました。
★石上神宮から七支刀(国宝)、鉄盾、★春日大社から古神宝の数々(国宝・重文)他、
手向山八幡宮から唐鞍(国宝)と★螺鈿の鞍(重文)、勝手神社から武装神坐像、★大和文華館から子守明神像などなど。
(注 ★5/6までの前期のみ)

奈良に関するもので印象に残ったものをご紹介します。
①吉野御子守神像(一幅)個人蔵
吉野水分神社の国宝、玉依姫命を写したものといわれています。
正面向きの神様の絵は珍しいそうです。
この像は三つで一セットと考えられていて、右横にあったであろう
②子守明神像(大和文華館蔵)も一緒に展示されていました。
どちらも南北朝時代、14世紀のものです。
左側にはどのような神像の絵があったのでしょうか?
③武装神坐像(二軀) 勝手神社蔵
平安時代12世紀のものだそうです。その当時使われていた鎧を忠実に写しているそうです。他には例がないとか。
いかめしい格好ではありますが、恐い感じはしませんでした。
余談ですが、恥ずかしながら(一応ソムリエですが・・・)奈良県勝手神社がどこにあるのか
実はそのときまで知りませんでした。
調べてい見ると吉野とのこと。何度となくその前を通っていて全く気がついていませんでした・・・
先日訪れてみましたが、境内は立入り禁止でした。
地元の人に聞いてみると、2001年に不審火で本殿が消失してしまい、
社務所はかろうじて残っているそうですが、崩壊の危険があるので、立入り禁止にしているそうです。
本殿の再建は難しいらしく、近いうちに社務所を整理して(壊して)境内を整備したら、その時はまた開放するとのことでした。
火事になったとき、武装神像はかろうじて救い出されたようです。今は吉水神社に祀られているとか。
後付ですが、そういう経緯があったんだとわかっただけでも、この神像に出会えて良かったです。
④小丹生之明神像 和加佐国比古神(男神座像)和加佐国比女神(女神座像)(重文)
福井県若狭神宮寺から来ていました。
わかさ国のおにゅう明神?ということは、もしかしたら二月堂に釣りをしていて遅れてしまった神様のことかしら?と思ったら、やはりそうでした。
713年までは、遠敷を小丹生と書いていたようです。
鎌倉時代の作ですが、神様ということで昔の名前が付いているのでしょうか??
この小丹生之明神、松尾大社をはじめとする威厳のあるちょっと恐そうな神像とは雰囲気が違っています。
優しげで親近感があります・・・
深読みしすぎですが・・・遅れちゃって恐縮している雰囲気を感じてしまうからかもしれません・・・
神像としてみた場合はなんともいえませんが、一つの彫刻としてみた場合、すごくいい彫りです。
腕の立つ仏師が彫ったのかもしれません。
ちなみにこの像は初めての一般公開だそうです。実に750年ぶり!
彩色も綺麗に残っています。
東京国立博物館での展示は6月2日まで。
その後は来年九州国立博物館にて開催予定です。2014年1月15日~3月9日

(奈良まほろぼソムリエの会  橋口 鈴子)