椿の花咲く「巨勢の道」を訪ねて (交流G 史跡等探訪サークル) 

4月12日(土)  参加者25名

週間予報では心配された天候も、実施日が近づくにつれて降水確率が下がり、歩くには最適のさわやかな気候で「巨勢の道」ウォークとなりました。近鉄橿原神宮前駅に9:30集合すると、通路やホームは溢れかえるほどの人・人。「そうだ、吉野はお花見真っ盛りだ」と気が付き、乗り込んだ電車は超満員。それでも何とか葛駅で降りて小林俊夫リーダーから本日の行程説明と資料配布のあとウォーキングスタート、最初に「新宮山古墳」を目指す。稲宿(いなやど)集落のはずれの尾根の先端に横穴式石室が開口している。低い羨道に頭をぶつけないように気を付けながら奥へ進むと立派な刳り抜型家形石棺、そのまた奥には、崩れた箱型石棺が。天井のコウモリに申し訳ないけれども懐中電灯をつけてじっくり見学する。その後、すぐ近くの安楽寺塔婆へ、二層目以上がなくなった三重塔の初層を見ながら、往時の堂々とした姿を想像する。

新宮山(しんぐうやま)古墳
安楽寺塔婆

御霊神社、(現在の)安楽寺に立ち寄り、巨勢寺跡へ、「巨勢山のつらつら椿・・・」はどんな具合かなと楽しみにしながら向かう。JR和歌山線と近鉄吉野線に挟まれた巨勢寺跡大日堂の脇にある椿の盛りは過ぎていたがまだまだ花も残り、誰が置いたか塔の心礎跡には、散った椿の花が添えられていた。

糖塔の心礎跡には椿の花びら・・・
阿吽寺  十一面観音像

椿の前での集合写真の後「玉椿山 阿吽寺」へ、門前の「椿のトンネル」もやはり盛りを過ぎていたが、足元に広がる落花もまたいいもの。阿吽寺は現在、無住だが地元の方々によって大切に守られており、特別に本堂を開けていただき、ご本尊の木造十一面観音像などを拝観する。境内には犬養孝先生揮毫の上記「坂門人足」の万葉歌碑もある。

当日参加のメンバー・・巨勢寺跡大日堂

昼食の後、「水泥古墳」を目指す。この古墳を管理されている西尾様ご夫婦の案内で、まず「南古墳」へ、普段は鍵がかかっている門扉を開けていただき石室内部へ入る。他に例がないといわれる縄掛突起に刻まれた「蓮華紋」を間近に見ることができ、参加者全員が大興奮。ここにも、「新宮山古墳」と同様に2基の石棺がおさめられている。
次に、西尾邸の裏庭にある「北古墳」へ、こちらは石棺は現存しないが、羨道・石室は南古墳より大きく堂々とした作り、西尾家の「展示室」で古墳から出土した高杯などを拝見。冷たい飲み物のプレゼント、ご夫婦から詳細なお話をいただいた。

水泥南古墳・・蓮華紋
水泥北古墳・羨道石室

駅に向かう途中「川合八幡神社」に立ち寄り、本日の見学予定はこれで終了。歩く距離も短く参加者全員元気で予定より早く2時30分に吉野口駅へ到着、解散しました。
花の盛りを狙った行事日程はなかなかぴったりとはいかないけれど、阿吽寺・水泥古墳など、地元を愛する巨勢谷の方々の温かさに触れることができたウォーキングでした。

[ 写真と文  史跡等探訪サークル  小林誠一 ]