保存継承グループ 桜井市高田「亥の子暴れまつり」見学記
12月4日(日)、保存継承グループメンバー3名で桜井市高田の「亥の子暴れまつり」を見学しました。現地はJR及び近鉄桜井駅から南へ徒歩30分、メスリ山古墳南側の高田地区にあります。
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早朝から藤蔓で竹を括り、高さ1.5m、幅2m四方の御仮屋を集荷場の外に作ります。御仮屋には鍬、鋤、鎌、鋸、槌などのミニチュアがまわりにつるされ、子どもたちお目当てのさい銭(おひねり)もつるされます。
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御仮屋の上に大当屋が1年預かった山口神社の分霊を移した屋形を乗せ、その前に藁で鉢巻きした赤飯・ご神酒などの神饌を供えます。
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「御仮屋暴れ」
午後2時、氏子が山口神社に拝礼した後、屋形と供え物が神棚に祀られ、大当屋の合図で子どもたちが農具のミニチュアやさい銭(おひねり)を奪い合い、御仮屋を叩き潰して暴れます。
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「膳暴れ」
午後3時、膳暴れが開始されます。集荷場の屋内で円錐形の赤飯を上下2つで1組としたものに3本の木の足をつけたものが準備されます。
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子どもたちの前に膳が準備され、当屋の合図で膳や椀を蹴ったり叩き割ったり、子どもの乱暴が始まります。あばれがひどいほどその年は平和で豊年であるといいます。
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「灯明消し暴れ」
午後6時、子供たちがヌレワラを持って集まり、それで神棚の灯明を消します。当屋の人はまた灯明をともします。「暗い!火ともせ火ともせ」とどなり暴れます。灯したり消したりを何度も繰り返します。
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この奇祭が終わると祭場の南、徒歩10分ほどの山腹にある山口神社で、屋形を次の大当屋に引き渡します。山口神社は神殿がなく神木をご神体としています。この祭りに先立ち吉野町妹山にある大名持神社に参り、吉野川から「御白石」を持ち帰るオナンジ参りが行われ、山口神社に奉納されます。
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祭りが終わると、取材にご協力いただいた当屋の奥様から神饌の鉢巻めし(赤飯)をいただきました。新聞社の取材や一般のカメラマンで混雑していましたが、少子化の影響でしょうか、地元の方の参加が少ないように感じました。奈良県では他にないユニークな神事に出会え、思い出深くそして楽しい見学となりました。
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文・写真 保存継承グループ 水間 充