長尾神社(葛城市)の「おんだ祭り」見学記
(長尾神社について)
長尾神社は日本最古の官道であった、竹内街道、長尾街道、横大路が交差する交通の要衝にあります。
ご祭神は天照大神、豊受大神、水光姫命(みひかひめのみこと)と白雲別命(しらくもわけのみこと)です。
同社掲示板によりますと、「(祭神の一柱の)水光姫命は古事記や日本書紀に体が光って尾が生じていたと記されており、神様の姿が白蛇であるといわれるところから、蛇の頭が大神神社で尾が長尾神社という伝承があり」、かつての葛下郡の惣社として知られる延喜式・式内社です。
(おんだ祭とは?)
神社の祭礼で大切な祭りとして「祈年祭(としごいのまつり)」という稲の実りを祈願する神事があり、その中にオンダ(御田)と呼ばれる行事があります。鍬、鋤などの農機具を使って農耕の模倣行為をします。
(長尾神社の「おんだ祭り」の流れ)
同社の祈年祭は毎年3月4日午後2時から始まり、「おんだ祭り」は午後4時から拝殿前の忌竹で囲んだ神田で行われます。以下、所作の流れをご紹介します。
(1)田男が鋤(すき)で畔切りを行う。
(2)田男が畔切り後、鍬(くわ)で畔作りを行う。
(3)牛が登場し大きな鋤や馬鍬(まぐあ)で田を起こす。
(4)田男が苗代田に籾を播く。
(5)牛が再度登場し、暴れる。暴れるほど豊作といわれている。
(6)6人の早乙女(小学校高学年)が登場し田植え(松葉と杉葉)をする。
(7)午後4時50頃、餅播きをして大盛り上がりで終了。
(感想等)
長尾神社の「おんだ祭り」を見学させていただきましたが、地元の皆さんが熱心に協力してこの行事を盛り上げようと努力されている姿勢が、よく伝わりました。
役員の方に伺うと、明治以降から続く行事で、数年前にお孫さんが小学校6年生の時に早乙女役を務めていましたと笑顔で答えてくれました。
末永く続けていって頂きたいと思いました。
文、写真 保存継承グループ・亀田幸英